2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of living environment indicators for safe and secure management of evacuation shelters
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21K12559
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
熊澤 貴之 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (30364102)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 避難所運営 / 避難所環境 / 避難所生活 / 単位居住空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,開設されて一週間を経過した避難所における個人の生活空間の改善に向けて,一人当たりの単位居住空間の形状が避難者の心理・生理的評価に与える影響を明らかにすることで,安全な避難所の生活環境指標に資する知見を得ることを目的とした. まず,我が国における各自治体の単位居住空間の基準と災害時の単位居住空間のプラン,単位居住空間で使用される災害用備品を調査し,現在,運用されている単位居住空間の実態を把握した.その結果,国際的な基準と比較すると,1人当たりの面積は満たされている傾向にある一方,パーティションの高さに関しては満たされていない傾向が見られた. 次に,避難所の段ボールブースにおける生活空間に着目し,その形状の実態調査から得られた4要因(高さ,面積,出入口,屋根)に関して,実大モデルを作成し,その形状が在室者に及ぼす影響を定量的に把握した.その結果,避難所の生活空間となる段ボールブースの高さが高いほど心理的な不快さや不安感が軽減する傾向にあるが,高さ1700 mm以上では評価に差が見られなかったこと,段ボールブースに半分屋根がかかっている場合,心理的な不快さや不安感が軽減すること,出入口が開放されている場合,心理的な不快さや不安感が高まることが確認された. 更に,避難所生活環境に関するデータを採取して分析することで,研究成果の精度を高め,避難所運営に関わる空間指標の作成と生活空間の計画を円滑に行う方法を提示する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は当初の予定通り,調査及び実験を実施することが可能であった. 在室者に及ぼす影響を定量的に把握するために心理生理データを抽出したが,2021年度中には十分なサンプル数を収集することが難しかった.2022年度に追加してデータを収集する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に実施した自治体の防災対策課に対するヒアリング調査において,各自治体の避難所における運営主体が育っておらず,円滑な運営が難しくなっているという問題が指摘された. そこで,2022年度は,自治会が避難所の運営をする施設に注目し,ヒアリング調査によって実態を把握することを目的とした. まず,茨城県内における地域住民による自主的な避難所運営を行っている施設を抽出し,日常生活において避難所運営に対する準備活動や訓練の実態を把握する.また,自治会の避難所運営訓練を促す自治体担当者の支援方法を把握する予定である.
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Causes of Carryover |
2021年度は,コロナ禍によって,旅費を伴う調査を実施できなかった.2022年度は,県外への移動規制の状況を見ながら,計画書にしたかって,調査を実施する予定である.
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