2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of living environment indicators for safe and secure management of evacuation shelters
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21K12559
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
熊澤 貴之 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (30364102)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域避難所 / 避難所運営 / 避難所生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,まず,自治体の防災担当者から地域避難所登録制度の実態を調査した.次に,地域避難所が運営されている地域の住民を対象とした調査から,地域避難所に関する防災行動意図の構造モデルを検証し,住民の特性や地域防災への認識によって生じる差異について検討することで,自治体および住民の双方における地域避難所に対する状況認識や防災意識を整理し,今後の有効的な避難計画や地域防災活動実施のための知見を得る. その結果,以下の三点が実証された. 1)自治体は地域避難所の設置によって避難場所の確保を見込んでいるが,避難所の状況や安全性を保証できないために,住民への周知に至っていない傾向がみられた. 2)地域避難所の整備が進む地域では,住民の地域交流意識や記述的規範意識が地域避難所における防災行動への行動意図を高めていた.その中で,避難に対する否定的態度といった日常性バイアスは記述的規範意識を低下させている実態を確認した.記述的規範意識は正の地域交流意識と否定的な態度の日常性バイアスの板挟みになっていた. 3)地域避難所においては支援体制などを指定避難所なみに十分に管理することは困難であるが,これらを改善してもそれほど防災行動を促進するとは言えないことが確認された.一方,住民が地域を主な活動範囲としている場合や,自治会および自治会館などに親近感を抱いている場合に本論で示した意識構造がより適合した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に,予定していた調査及びデータ採取を実行できている.また,不足しているデータを追加で収集する目途が立っている.よって,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
避難所の劣悪環境と避難者の健康悪化の関係,避難所の安全安心な環境改善と避難者の疲労ストレス低減の関係を,実験結果によってデータで導き,避難所の生活環境指標の精度の向上を図る.実験では,個室居住空間に長時間滞在した際の印象評価と生理評価に与える影響の経時的変化を明らかにする予定である.現在,実験の要因として,面積と屋根に加え,滞在する時間帯(昼,夜)と滞在の経過時間の4要因を想定している.生理評価は,ストレス評価に用いられる自律神経バランス(LF/HF)の値を使用する. 以上より,追加のデータの採取とデータの分析を実施し,研究をまとめていく予定である.
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Causes of Carryover |
2022年度は,コロナ禍によって,国外に出向いて現地で研究発表を実施できなかった.2023年度は,研究成果を国外に出向いて発表する予定である.
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