2021 Fiscal Year Research-status Report
Quest for the origin of language in non-human animals
Project/Area Number |
21K12606
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
脇田 真清 帝京大学, 文学部, 准教授 (40301270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 言語 / 音列 / メロディ / 鳥類 / オウム / 弁別 |
Outline of Annual Research Achievements |
時間的に規則的な音列を抽出することは、ヒト音声言語の理解に欠かせない能力である。この能力は音楽ドメインでも共有される。これまでに、ヒトに近縁な非ヒト霊長類にこうした音列知覚の能力があることが報告されていないが、アシカやオウムなどでは音列知覚を示唆する報告がある。そこで、ヒト以外の動物で音列知覚の能力を調べるために、オウムの一種であるオカメインコを訓練し、知覚に音列の体制化が必須なメロディーの弁別訓練をおこなう。オウムには同じ体重のサルよりも神経細胞の密度の高い大脳があることが知られている。オウムにサルより優れた音列知覚の能力があるなら、生物学的にサルほど近縁でない鳥類が、ヒト化の過程での言語獲得すなわち言語の起源や、ヒトの言語知覚能力を理解するための動物モデルとして役立つ可能性を示唆することになる。 そこで本研究では、オウムの一種であるオカメインコにおいてメロディー刺激の弁別訓練を行い、聴覚認知の特徴を調べることを目的とした。今年度は、計画を遂行するために、以下とおり実験環境を整備した。まず、1)オペラント実験システムの設計と購入を済ませ、2)オウムの一種であるオカメインコと、比較のためのセキセイインコを導入した。また、3)実験を遂行するための実験プログラムを作成し、4)トリの音列処理能力を調べるための訓練刺激として、Wright (2000)に倣い6音の要素からなるメロディ刺激を作成した。しかし、いくつかの問題のために、今年中に、計画していたようなトリを使った訓練は開始できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2021年度の前期中に装置のセットアップを完了させ、予備訓練に続き、オカメインコを用いて弁別訓練を開始する予定であった。しかし、本計画の初年度は研究代表者の所属が変わった一年目であり、当初の計画とは研究環境が変わったことで、実験スペースの確保などのため、実際に計画を実施できるまでに時間を要した。さらに、入手できたトリが幼若であったことや、制御用コンピュータの納品に時間がかかり、導入した装置に未だ解決されない不具合があったため、実際の訓練を開始することができず、計画が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度には計画していた目標を達成できなかったが、この計画のための専用の実験室がすでに確保できている。また、装置の不具合はまだ解決できていないが、この問題が解消され次第、訓練が開始できる。購入したトリはまだ幼若であるが、どちらのトリも実験装置に馴到できているため、成熟したのちにはすぐに訓練を開始できる。したがって、次年度の前半には、初年度に計画していた訓練が始められると考えている。 訓練が開始されれば、計画の2年目に計画していた通り、音列弁別訓練に引き続き、さまざまな新規刺激を用いた般化テストまで行える可能性がある。般化テストにおいて、刺激への反応率と弁別刺激への反応率とを比較することで、トリが音列刺激のパターン体を手掛かりに弁別していたかどうか、すなわち、トリの聴覚認知の特徴を明らかにできることになる。同時に、トリの数を増やし結果の信頼性を高める予定である。
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Causes of Carryover |
学会などがすべてオンライン開催となったため、当初予定していた旅費分が未使用となった。しかし,このことによる計画全体の実施に影響はなく,この繰越分は次年度に実験動物の購入費などとして使用する予定である。
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