2023 Fiscal Year Research-status Report
知覚・認知に及ぼす時間文脈効果の個人差とその処理プロセスの解明
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21K12607
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 あき 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (30727053)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 履歴効果 / 個人差 / 知覚 / 判断 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常生活で人が知覚したり、知覚した対象に対して判断や評価を行う際には、過去の知覚や判断に影響を受けることが知られている。これまでの研究では、輝度刺激のような低次の特徴や顔のような高次の視覚物体に対する現在の知覚や判断が、過去の知覚や判断の履歴に近づくように変容する現象(履歴効果)について明らかにしてきた。しかしながら、知覚と判断における履歴効果は、これまで異なるレベルの問題として別々の文脈で論じられており、個々の履歴効果が個人内でどのように関連するかについては明らかになっていない。本研究課題では、知覚と判断における履歴効果の個人内相関に着目することにより、過去の履歴に同化する現象が、視覚入力から高次の物体認知や意思決定に至る過程でどのようなプロセスを経て生じるか解明することを目指す。 本年度は、同一の実験参加者に対して、顔刺激のマッチング課題と顔の魅力判断課題を行う際に生じる履歴効果を調べる実験を実験室環境で実施した。その結果、実験室実験では、同じ刺激に対する異なる課題において生じる履歴効果量には個人内で相関関係が見られなかった。前年度までのオンライン実験における履歴効果量の個人内相関と異なる結果が生じた理由としては、実験の参加者群や試行数の違いが影響した可能性が考えられる。次年度は引き続き、輝度刺激と顔刺激など、他の刺激で同一の課題を行なった際の履歴効果の相関関係を調べる実験室実験を実施する予定であり、これらの結果を考察することにより、低次レベルの知覚と高次レベルの判断において生じる過去の履歴による効果を総合的に解明することができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の研究中断の影響により、本年度においても当初の計画より研究が遅延した。このため本研究課題の補助事業期間を1年間延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度において、輝度刺激と顔刺激など、異なる刺激で同一の課題を行なった際の履歴効果の個人内相関を検討する実験室実験を実施する予定である。実験の実施体制は既に整っており、スムーズに研究遂行できる見込みである。
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Causes of Carryover |
前年度の研究中断の影響により、本年度も実験実施の遅延が生じ、予定していた成果発表の中止等により次年度使用額が生じた。次年度において、実験実施に伴う人件費・謝金や、学会参加・発表のための出張費として使用する予定である。
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