2023 Fiscal Year Research-status Report
視覚的自然場面における人物の動き処理に関する発達過程の解明
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21K12609
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山下 和香代 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (70580067)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自然環境下 / 人物検出 / 人物同定 / 動き |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然場面において動きだけから人物検出および人物同定といったヒトにおける知覚認知機能の発達の解明を目的とする。動きだけから人物検出及び人物同定といった知覚認知が可能かどうかを検証するために、様々な事象、事物などの情報が重畳した日常環境(自然場面)動画を取得し、その自然場面から抽出されたオプティカルフローに沿ってランダムに分布するドットが動く動画(ドット動画)を用意した。今年度は昨年度に引き続き、友人同士において人物同定課題を実施した。昨年度は歩行動作だけであったが、今年度は、友人同士で観察される様々な動作の自然場面をドット動画にし利用した。また、友人同士の親密度をアンケートにより調査し、親密度の高い友人同士を選定し実験を実施した。まだ分析途中ではあるが、親密度が高い友人同士は人物同定が可能であることを示唆する結果となっている。なお、親密度のスコアの影響は、ともに過ごす時間ではなく、個人間の共通項の多さに依存する可能性がある。2024年度中には学術論文としてまとめると同時に、視線計測したデータの分析を進める。また、人物検出課題遂行中の成人の眼球運動を、自然場面動画観察時とドット動画観察時で分析比較した結果、ドット動画観察時の人物への注視行動は自然場面動画観察時より若干の遅延はあるが有意な違いはみられなかった。これについても2024年度は研究成果として学術論文として公表することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、まず、昨年度の実験結果をふまえて実験の方向性を修正する必要があるかどうかを検討する必要があり、昨年度の実験のコントロールとして、成人対象に人物同定課題を実施した。友人グループの選定に時間を要し、実験は実施したが、眼球運動計測のデータ分析については、まだ終えていない。2024年度は眼球運動計測のデータ分析を進めるが、これまでの分析の結果から、おおよその実験の方向性は修正する必要がないことがわかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
成人における取得済みの実験データの解析後、研究成果の公表を目指す。さらに自然場面での動きだけから人物検出及び同定機能の発達を調査するために、低年齢児での実験を実施する。
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Causes of Carryover |
現地参加を予定していた学会がオンライン実施であったため旅費の支出がなかったこと、また、昨年度の実験結果をふまえてコントロール実験を実施する必要があり、学術論文として投稿することができなかったため投稿にかかる費用が発生しなかったことから次年度使用額が生じた。使用計画について、実験器具と設備購入、データ取得のために協力してくださる低年齢児への謝金、研究成果を学術論文としてまとめ投稿にかかる費用、英文校閲に使用予定である。
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