2023 Fiscal Year Research-status Report
認知特性に関する神経基盤の解明:マルチモーダルMRIによる検討
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21K12617
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
宮崎 淳 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40880323)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 拡散MRI / NODDI / 認知機能 / 個人差 / 大規模データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳と行動に関する大規模なデータを用いて、人間の認知機能の特性を解明することを目指している。2021年度には、Human Connectome Project (HCP)から取得したデータセットの選定と、脳画像の前処理作業を行った。これには歪み補正や位置合わせなどが含まれ、データの分析に必要な基盤を構築した。 続く2022年度には、複数の認知課題を分析し、それらを三つのグループに分類した。この結果、機能的MRIを用いて、それぞれのグループが背外側前頭前野、背内側前頭前野、前部島皮質、頭頂皮質などの脳領域で異なる活動パターンを示すことが明らかとなった。これらの領域の活動は、個人の認知特性に応じて認知処理が制御される可能性を示唆している。 2023年度に予定されていた、個人の認知特性に関与する脳領域間の結合パターンの詳細な解析は、研究室の異動と環境の整備に時間がかかり、完了していない状況にある。そこで別の進捗として、拡散強調MRIのデータを用いてNeurite Orientation Dispersion and Density Imaging (NODDI)法から大脳皮質の神経突起密度(Neurite density: NDI)と神経突起散乱(Orientation Dispersion Index: ODI)の指標を算出した。その結果、NDIとODIの両指標において、背内側前頭前野で三つのグループ間に統計的に有意な差異を示すパターンが観察された。これにより、脳の微細構造の違いが個人の認知特性と密接に関連していることが示唆された。 今後は、これらの結果を基に、さらなる脳の構造と機能の相互作用について解析を進め、認知特性のより詳細な理解を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室の異動と環境の整備に時間がかかり、分析の開始が遅れたため遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開として、引き続き安静時脳活動データから機能的結合性の解析を行い、認知特性と脳領域間の関連を明らかにしていく。また、脳の構造と機能の相互作用について解析を進め、認知特性のより詳細な理解を目指す。
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Causes of Carryover |
得られた成果を発表するための準備が遅れており、次年度使用額が生じた。これらは論文投稿や学会発表のために使用する予定である。
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