2021 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of visual pathways using spatiotemporal cortical inverse solution
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21K12623
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
堀 潤一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80209262)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳波逆問題 / 時空間イメージング / 視覚情報処理 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ブレインマシンインタフェースやニューロマーケティングなど脳神経科学の知見を実用的な場面へ応用する研究が期待されている。その実現のためには、フィールドなど実環境において脳神経活動を計測する技術の確立が急務である。本研究では、自然環境下で非侵襲的に視覚情報伝搬経路の可視化を実現するため、脳波から高精度脳内電気活動を時空間上でイメージングする方法を確立することを目的とする。時空間分解能を考慮した超解像度化法を導入し、雑音情報を組み込んで脳波逆問題を解くことで、高精度脳皮質電位の推定を可能とする。構築した脳波イメージングシステムを用いて、視覚形状や運動視覚刺激の違いにより背側皮質視覚路と腹側皮質視覚路の情報伝搬の可視化を目指す。 これまでに,脳波逆問題にダイポールイメージングという脳内仮想空間上の信号強度分布を等価的に推定する方法を適用し,さらに少数電極による非侵襲脳波計測の場合でも補間法を用いることで高精度に可視化する方法を検討した.シミュレーションによって,本提案法により,補間しない場合に比べて改善がみられ,多数電極と同等の精度が得られることを確認した.実験では,点滅刺激と運動視刺激に関するタスクを用いて視覚路の伝搬経路を確認し,それぞれ生理学的知見と一致することを確認した.今後,視覚形状刺激と運動視が複合したタスクについて確認する.また,視覚以外の感覚野や運動野の可視化についても検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,現状脳波イメージングによる可視化技術で脳全体を把握するのに100 チャンネル以上の電極を必要としたところ、実用化のため電極数を削減する方法を検討した。空間的な補間法を導入することにより,逆問題解析における計算精度を向上させ、可視化領域を限定すれば国際10-20法による20 チャンネル程度の電極でも実用可能と考えられた。 本年度は、初年度に確立した脳波イメージング手法を実脳波に応用し有効性を確認した。まず,視覚情報の種類の違いによる脳内認知機能を把握するため、高空間分解能脳波イメージングを適用し、第一次視覚野の賦活とそれ以降の信号伝搬の様相を調査した。視覚刺激提示による課題遂行時の脳内電気活動時空間パターンより、情報伝搬経路を追跡する。視覚刺激の種類に応じて、視覚野から側頭部、頭頂部への「活動部位の時間変化」を捉えることを目標とした。具体的には、チェッカーフラグ点滅刺激提示により視覚形状認知に関わる腹側皮質視覚路の電気活動の伝搬を解析した。また、ランダムドットによる運動視刺激提示により運動に関わる背側皮質視覚路の電気活動を解析し、視覚伝搬経路の違いを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで,視覚形状認知と運動視刺激認知それぞれ単独の場合のタスクについて,脳内視覚路の可視化を実現した.今後,視覚形状認知と運動視が混在した視覚刺激を提示した場合の情報伝搬経路を解析する。 さらに、本手法は,視覚情報に限定することなく,他の脳内情報処理過程の可視化にも応用できることから,ブレインコンピュータインタフェース実現のため、感覚野、運動野の高精度イメージングを実現する。一般に運動関連脳電位を用いた方法では、左右手指や脚部の運動想起などが用いられてきた。ペンフィールドの脳機能マップによると手指の運動野は左右側頭葉にあるため比較的判別しやすいのに対し,脚部は頭頂部大脳縦裂付近にあるため左右の判別が困難であった。本提案法によれば、高空間分解能で脳活動部位を可視化できる上、ダイポール信号源の位置のみならず方向の推定が可能なため,脳溝付近の信号源を特定できると考えられる。加えて時系列解析を組み込むことで、信号源の時間変化から左右判別を達成できると考えられる。 以上の研究より得られた結果をとりまとめ,成果を発表する。
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Research Products
(1 results)