2023 Fiscal Year Annual Research Report
微細加工技術を用いた血管ネットワーク付人工骨の開発
Project/Area Number |
21K12625
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河井 利之 京都大学, 医学研究科, 助教 (80806828)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多孔体 / 骨新生 / 血管新生 / 骨欠損 / 三次元印刷 / 人工血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
巨大な骨欠損を人工物で再建するためには、深部まで栄養・細胞を供給するための微小血管が必要となる。申請者の血管付き培養骨の設計コンセプトは、1.培養骨内部と外部を連絡する三次元血管ネットワークを内包し、2.硬組織再建に耐えうる力学的強度を有する、というものであり、本年度は主に2.に該当する骨格部分の生体内評価を行った。 ビーグル犬の大腿骨に3cmの骨欠損を作成し、ポリカプロラクトンで作成した多孔体を挿入し、ポリエーテルエーテルケトンプレートで大腿骨を固定した。多孔体を挿入した多孔体群、欠損部をそのままにしたempty群、多孔体にBone Morphogenetic Protein 2を添付したBMP2群の3群を比較した。8週間後に腹部大動脈から血管造影剤Microfilを注入し、欠損部の血管の量を評価したところ、多孔体群はempty群よりも多くの血管量を有していた。BMP2群では多孔体群よりもさらに多くの血管量となっていた。 8週後の骨形成量は、empty群よりも多孔体群、BMP2群で多い傾向があったが、有意な差ではなかった。この実験系では欠損中央部分の血流が充分に得られていないと判断されたため、今後は血流を引き込むための大きな流入口を作成し外科的に周囲血管と吻合する必要があると考えられた。 ハイドロゲルのtubeの内腔を上皮化し、tubeネットワークを組み立ててラットの腹部大動脈と吻合し、長期的に開存性が保たれるかの検証ではtubeが微小なものになると閉塞してしまう事例が多くみられ、ハイドロゲルtubeネットワークと骨格となる多孔体とを組み合わせたcomposite-implantを中動物で評価する段階に期間中に至ることが出来なかった。最適なゲルデザイン、上皮化条件の模索を継続する必要があると考えられた。
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