2021 Fiscal Year Research-status Report
心外膜脂肪の質を評価する新たな画像診断による心房細動ハイリスク患者検出
Project/Area Number |
21K12648
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 悠海 大分大学, 医学部, 病院特任助教 (20835607)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心外膜脂肪 / 心房細動 / 心房線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に73名の心外膜脂肪及び左心耳検体を手術中に採取した。心外膜脂肪の線維化評価を行うために、心外膜脂肪全体の線維化量を標本中のコラーゲン割合とタンパク定量キットを使用し測定した。心外膜脂肪標本をマッソントリクローム染色し、染色標本中の心外膜脂肪を中央と辺縁に分け、それぞれの領域の脂肪細胞の数・密度を光学顕微鏡のセルカウントシステムで測定した。さらに中央と辺縁の違いを炎症・線維化・脂肪成熟に関連するRNA量をレーザーダイセクションおよびマイクロアレイで評価した。 心外膜脂肪の線維化の定量により、線維化の増生は有意に心外膜脂肪の辺縁にて多かった。また、辺縁では脂肪細胞が有意に小型化していた。蛍光染色での定量では線維化の多い辺縁にはマクロファージ、線維芽細胞、リンパ球が有意に多かった。マイクロアレイ解析では、IL-6、TNFα、TGFβなどの炎症関連mRNAの発現が有意に上昇し、PPARγ、FABP4などの脂肪成熟関連mRNAの発現が低下していた。 以上の結果より、組織学的に心外膜脂肪の線維化・炎症は辺縁で顕著であり、脂肪細胞の成熟低下に関与していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度中に、心外膜脂肪の線維化の部位ごとの組成の違いを組織学的に評価する予定であった。実績に記載した通り、当初の予定は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に左心耳検体を得た全心房細動患者のCT画像より心外膜脂肪のCT値をピクセル毎に測定する。CT画像においても組織学的評価と同様に心外膜脂肪の中央と辺縁のCT値の差を算出し、組織学的に定量した線維化との関係を解析する。これを調べることで、組織学的な線維化評価が、CT画像に反映されているか確認できる。 2023年度に当施設でCT撮影した患者を、心外膜脂肪の線維化が多い群と少ない群に区別し、1年間後に問診、検脈、12誘導心電図、ホルター心電図より心房細動の新規発症を追跡調査する。これによりCT画像の評価が心外膜脂肪の線維化、心房細動の診断に有用か判断できる。
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