2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanical properties of elastin hydrogels and its application to biomaterials for spinal ligament repair
Project/Area Number |
21K12675
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (00309270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エラスチン / 動脈球 / ハイドロゲル / 線維芽細胞 / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は,エラスチンを主成分とした脊柱靭帯再建用材料を開発することである.この目標を達成するために,脊柱靭帯の力学的特性を再現する魚類由来エラスチンハイドロゲル材料の作製を試みている.新規に作製したエラスチン材料の生体適合性を確認しておくことは,生体内への埋植を想定した場合には必須の検討事項である.細断したマグロ動脈球に対して脱脂,脱水,乾燥の処理を行い,純度の低いエラスチン粉末を得た.次に,このエラスチン粉末を水酸化ナトリウムで溶解し,この処理を複数回繰り返した後,脱脂,脱水,乾燥の処理を実施することで,不溶性エラスチンを得た.さらに,不溶性エラスチンに対してシュウ酸処理を施した.その後,エラスチン成分を含んだ上清を凍結乾燥することで可溶性エラスチンを精製した.この作製した可溶性エラスチンを用いて細胞毒性試験を実施した.質量パーセント濃度が1%となるように,可溶性エラスチンを蒸留水中に含有させた.このエラスチン成分含有液を培養フラスコに注入した後,乾燥オーブン中に24時間静置した.これらの作業によって,培養容器の表面にエラスチン膜を被覆させた.作製したエラスチン被覆面上に,線維芽細胞(NIH/3T3)を播種して培養を行った.培養4日目まで24時間ごとの細胞形態の変化を光学顕微鏡によって観察した.エラスチンコーティング足場上において,線維芽細胞の増殖とエラスチン足場への遊走性が確認された.また,エラスチン足場が存在する領域とエラスチン足場が存在しない領域で比較すると,エラスチン足場が存在する領域では線維芽細胞の密度が高く,増殖も顕著である傾向がみられた.これらの結果から,本研究で作製した魚類由来エラスチン材料は線維芽細胞に対しての毒性が極めて低いことが示唆された.
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