2022 Fiscal Year Research-status Report
3次元再構築画像を用いた心房細動に伴う三尖弁逆流の病態解明評価
Project/Area Number |
21K12701
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大門 雅夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80343094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 倫子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30597216)
木村 公一 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (50596236)
中西 弘毅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80835140)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 三尖弁 / 弁膜症 / 画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、3次元心エコー画像から得られた三尖弁再構築画像を用いて、心房細動(AF)患者における形態的異常と三尖弁逆流(TR)進展のメカニズムを明らかにすることである。昨年度は、本研究の基礎となる健常人142例の三尖弁ジオメトリー基準値の検討を行った。取得した3次元心エコー検から解析ソフトreal viewを用いて三尖弁輪の3次元的再構築し、三尖弁輪径や高さ、三尖弁面積、周囲長などの3次元ジオメトリー計測を行った。この結果は、今後三尖弁の基準値として活用されると期待され、日本心エコー図学会ならびに日本臨床検査医学会で発表し、論文投稿準備を行っている。今年度は、さらに機能的三尖弁逆流の主な原因であるAF例について検討を行った。当院を受診したAF患者のうち、他に基礎的心疾患を認めない孤立性AF患者103例を対象にした。このうち、画像不良で解析できない2例を除いた101例において、経胸壁3D心エコーデータを4D Auto TVQTM(GE Vingmed)という最新の三次元解析ソフトを用いて解析を行った。AFは持続時間の短い順に発作性AF(20例)、持続性AF(49例)、長期持続性AF(32例)の3段階に重症度評価を行った。AFの持続時間が長いほど、三尖弁輪は拡大して円形化、平坦化し、AFの持続時間と体表面積で補正した3次元的三尖弁面積の間は有意な相関を認めた(p=0.016)。また、有意なTRを有する比率も有意に増加し、三尖弁輪面積/体表面積とTR重症度の間には強い相関(p<0.001)を認めた。以上の結果より、AFの持続に伴う三尖弁輪の拡大や平坦化が機能性TRの進行と関連している可能性が示唆された。本研究結果は現在論文として投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要なソフトの購入や研究体制は構築済みであり、昨年度は健常例の三尖弁ジオメトリー基準値を明らかにした。今年度は昨年度よりも順調にAF症例のリクルートが進み、AF101症例の3Dデータ収集ならびに解析を行った。目標としていた登録250例には届かないが、概ね必要なデータは得られている。今後はリクルート症例を増やして、さらに検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、さらにAF症例のリクルートと解析を進め、TRの重症度と三尖弁ジオメトリーの関連を明らかにしていく。その上で、有意な三尖弁輪ジオメトリー変化が生じる閾値を明らかにし、より有効な外科的三尖弁形成術開発に寄与したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、国際学会への出席ができなかったこと、また国内学会もオンライン開催のため出張費が少なかったため。現在現地開催の学会が増えており、次年度は積極的に学会発表を行い、論文作成を行っていく。
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