2021 Fiscal Year Research-status Report
病理標本のメゾスコピック領域での3次元屈折コントラスト画像撮影システムの開発
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21K12709
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
島雄 大介 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (20404907)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 屈折コントラスト / CT / 病理標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実施計画は、①前半:初期型アナライザのデザインと作製+アナライザ冶具のデザインと作製(学内にて)、②後半:初期型アナライザの動作実験と検証(高エネルギー加速器研究機構にて)であった。この計画に沿って2021年10月までに、オリジナルデザインの初期型アナライザとアナライザ冶具作製を完了した。このときの初期型アナライザ厚は500ミクロンで一部研磨斑が残るものであった。これらの動作チェックを2021年10月下旬のマシンタイムにて行った。これにより、研磨斑をなくすためのアナライザの再研磨、さらに用意した冶具では実験ハッチ内の空気の流れがアナライザの安定動作に影響を与えることが分かった。 この結果をもとに、アナライザの再研磨を更なる精度を出せる別業者に依頼し、アナライザ厚を100ミクロンまで薄くする鏡面研磨を実施した。また、冶具についてはX線吸収のほぼないカプトンマクで囲う形のケースを被せる仕様とした。これらの動作チェックを2022年3月中旬のマシンタイムにて行った。100ミクロン厚のアナライザの回折強度曲線の取得に成功するとともに、アナライザの研磨斑が無くなったことで均一視野が得られるという結果が得られた。ただし、これらの結果は短時間動作としての結果であり、CT画像取得のために長時間安定動作をさせるという点では、新たな課題が出てきた。 現状では、アナライザの冶具への設置の仕方に問題があると考えている。現行では、アルミ製の薄板に100ミクロン厚のアナライザ上部のスリットを挿入する方式、すなわち100ミクロン幅で長さ5㎜程度の2本の線で支えてぶら下げることになっている。これにより、周辺環境の微妙な変化ですらアナライザ結晶の揺れにつながり、動作の安定性を確保できないこととなっていると想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、年度の前半までにオリジナルデザインの初期型アナライザとアナライザ冶具作製を完了し、年度後半には高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設でのマシンタイムにおいて、2度にわたりこれらの動作チェックを行うことができている。更なる安定動作化に向けた課題も抽出できているため、次年度に向けた開発課題も明確となっているため、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の2022年度の研究実施計画では、初年度の初期型アナライザの改良を図るため、①前半:各種改良型アナライザのデザインと作製+アナライザ冶具のデザインと作製(学内にて)、②後半:各種改良型アナライザの動作実験と検証(高エネルギー加速器研究機構にて)としていた。しかし、初年度の実績からアナライザとしては初期型のもので十分であることが分かり、問題はその設置法であることが明らかとなった。 そのため、今後の研究の推進方策としては、初年度に作製したアナライザを安定に設置するための冶具の改良とする。現状では、100ミクロン幅で長さ5㎜程度の2本の線となるアナライザスリット部で支えてぶら下げることになっているが、これがアナライザの揺れを誘発している。これを改善するための設置法を設置部の材質の検討を進める。年度前半までに冶具をいくつか試作して、年度後半には高エネルギー加速器研究機構にて動作チェックとしての実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
アナライザ設置用冶具を作製し、動作実験後に改良版の追加作製を考えていた。しかし、アナライザの改良を優先したため、冶具の改良は次年度へと持ち越すこととしたためその費用、65,446円の次年度使用額が発生した。
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