2022 Fiscal Year Research-status Report
病理標本のメゾスコピック領域での3次元屈折コントラスト画像撮影システムの開発
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21K12709
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Research Institution | Osaka Butsuryo University |
Principal Investigator |
島雄 大介 大阪物療大学, 保健医療学部, 教授 (20404907)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 屈折コントラスト / CT / 病理標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実施計画は、①前半:各種改良型アナライザのデザインと作製(学内にて)、②後半:各種改良型アナライザの動作実験と検証(高エネルギー加速器研究機構にて)としていた。昨年度までに、研磨斑が無く均一視野が得られる100ミクロン厚のアナライザが完成し、2022年3月中旬のマシンタイムで、このアナライザの回折強度曲線の取得に成功していることから、①に沿ってアナライザを改良するのではなく、前半はアナライザを安定に設置するための治具を開発することとした。 アルミバーで抑えるタイプ、消しゴムを整形して固定具とするタイプを考案して試したが、安定はするが接触による歪が残ってしまうものとなってしまった。そこで、アナライザ結晶との接触部に5mm角程度としたクッションテープを用い接触圧を抑えることで歪の除去を実現しつつも、CT撮影が可能な3~4時間程度の安定性を確保することが可能となった。 その後、後半の②を進めることを目的に、病理試料(前立腺)を撮影試料として屈折コントラストCT撮影を行い、X線カメラで得られる視野サイズ(15 mm×20 mm)全面でアナライザによる画像斑のない均一なCT画像を得ることに成功した。このCT画像では、前立腺組織内の上皮細胞、腺管、腺腔、尿道、微小結石等が描出され、染色した病理像に迫るものであった。 コントラストは十分なものであるが、さらに空間解像度が向上すれば、病理像に匹敵する屈折コントラスト像が得られるであろうという望みがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、今年度までにオリジナルデザインの薄いぶら下げ型アナライザとアナライザ固定用冶具を完成し、病理組織の高空間解像度・高コントラスト像の撮影に成功している。残すは、さらなる安定化と高空間解像度化のもと、各種病理組織の撮影となる。これらは当初設定していた最終年度の計画にそのものとなるため、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の2023年度の研究実施計画では、通年で高エネルギー加速器研究機構にて最終型アナライザによる各種病理試料の撮影実験としていた。これまでの成果からは、安定化を維持しつつさらなる高空間解像度化も新たな課題として見えてきた。今後は、これらを検討しながら、各種病理試料の撮影を行っていく。具体的には、①アナライザをさらに薄くして現状の100ミクロンから60ミクロンほどまで薄化を図る、②被写体-アナライザ-カメラ間距離の最短化を図る、の2点で高空間解像度化を図ることを計画している。 これらにより完成した高空間解像度屈折コントラストCT撮影システムにより各種病理試料を撮影して、従来の屈折コントラストCT像で描出されている構造物との描出能の違いを検証し、高空間解像度屈折コントラストCT撮影システムの有用性を明らかにする方針である。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験の結果をもとにして、アナライザ結晶の鏡面研磨を依頼する予定であったが、手続き上の問題で実験の実施が不可能となったため、鏡面研磨は次年度早々に依頼することとした。 これにより生じた次年度使用額については次年度早々に鏡面研磨費用として使用し、翌年度分は2023年度研究計画に変更なく使用する。
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