2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Neonatal Respiration and Heartbeat Measuring Method Using Doppler Sensor
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21K12717
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
上林 真司 中京大学, 工学部, 教授 (60555415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 義朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30435862)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 呼吸測定 / 心拍測定 / ドップラーセンサ / 新生児 / テンプレートマッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
名古屋大学医学部附属病院において,コット内の新生児3人に,ドップラーセンサにより,呼吸,心拍を測定すr基礎実験を行った。センサは,胸の上約40cmの位置と,コット下部約30cmの位置でそれぞれ測定した。測定信号(I,Q信号)のDCオフセット補正は,従来最小二乗法による円近似を使っていたが,測定信号の雑音が大きいとき,正しく円の中心を推定出来ない問題があったため,幾何学的推定法を用い,雑音が大きいときも正しく復調ができるようになり,新生児が安静な状態であれば,胸部照射において誤差率3.12%,背部照射において誤差率1.19%で心拍を測定できることを確認し,電子情報通信学会ソサイエティ大会で発表した。 照射位置により精度が変動すること,体動のある時は精度が著しく劣化することを確認したため,同時測定可能な3センサ測定系を開発した。3センサ測定系の基礎実験として,中京大学において,成人4人に対して,背部,側部,頭部のコットを模したアクリル板側面にセンサを配置し,呼吸・心拍測定を行ったところ,安静状態では,頭部では,平均誤差率1%以下(RMSE 5%以下)で心拍を測定できた。頭部では呼吸は観測されなかった。背部,側部では,どちらかの部位で,呼吸・心拍をRMSE 10%以下で測定できることを確認した。従って,3センサの出力をダイバーシチ合成することにより,安静時であれば,常時,RMSE 10%以下の測定が可能であると期待できる。 今後は,照射距離,照射位置のずれの影響の評価,サンプル数の増加と併せて,新生児の実験を行う予定である。外乱の影響,体動の影響も,影響を受けないセンサがある場合には,ダイバーシチ合成により,影響の除去が可能と期待できる。最終的には,外乱検出センサの使用,機械学習による信号解析など,更にロバストな測定法を研究開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,基本測定法を改善し,体位の影響除去方法の検討に注力する予定であった。 基本測定法として,測定信号(I信号,Q信号)のDCオフセット除去のために,従来は最小二乗法による円近似を用いていたが,雑音の影響が大きいとき,正しく円の中心が求められない問題があったため,幾何学的推定法を開発し,雑音が大きい場合も正しく復調できるようになり,安定した呼吸・心拍測定が可能となった。 また,体位の影響除去のため,同時測定可能な3センサ測定系を開発し,予備実験として,成人を対象として,頭部,背部,側部の同時測定を行ったところ,頭部照射では,照射位置がある程度ずれても(±15cm),心拍についてはRMSE10%以下の測定が可能になることを確認した。また,背部,側部では,どちらかの部位で呼吸・心拍をRMSE 10%以下で測定できることを確認した。このことから,ダイバーシチ合成すれば,体位に関わらず,RMSE 10%以下の測定が可能になることが期待されるが,3センサ測定系の開発に時間を要したため,まだ,成人におけるダイバーシチ合成の効果の評価,新生児における実験を実施しておらず,現時点では,可能性を見出したところである。しかし,本手法は,外乱の影響,体動の影響除去にも効果が期待できるため,その点では,先行した検討が進んでいると言える。 昨度は,測定系の開発と基礎実験が中心であり,対外発表が不充分であった(電子情報通信学会ソサイエティ大会1件)が,3センサによる実験が可能になり,解析手法も確立してきているため,今年度は対外発表も増やしていける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本測定法の改善を継続すると共に,3センサ測定値のダイバーシチ合成法の開発を急ぐ。その成果を成人で検証すると共に,新生児に適用し,測定精度,測定条件を明確にする。また,測定の簡易化を図り,病院スタッフのみで測定可能とし,適切な条件における長時間測定など,様々な条件における測定により,測定サンプルを増やし,測定精度を評価し,問題点を抽出する。 外乱の影響除去方法としての3センサダイバーシチ測定法の効果を検証すると共に,外乱測定センサを用いる方法についても検討する。新生児は指示に従うことなく,自由に体位を変え,運動するため,検討は,まず成人で行い,効果が確認できれば新生児に適用する。 体動の影響除去方法として機械学習の適用の検討を開始する。新生児の体動は主として,手,脚の運動が中心のため,3センサダイバーシチ測定により,動いていない部位の測定値を有効に使うことにより,ある程度の測定精度の向上が期待できると考えるが,機械学習を含め,様々な方法を検討し,まず成人で検証した後,新生児に適用し,測定精度を評価し,問題点を抽出する。 全体の測定法が明確になれば,新生児の測定サンプルを増やし,測定精度の評価,問題点の抽出を行い,精度向上技術,問題点解決技術を検討し,更に改善を図る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,対外発表がオンラインとなり,また,メーカーとの仕様に関する打合せ等もオンラインにしたため,旅費を物品費に回したが,若干(総額の6.4%)が残った。来年度の物品費あるいは旅費として有効活用したい。
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Research Products
(1 results)