2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Neonatal Respiration and Heartbeat Measuring Method Using Doppler Sensor
Project/Area Number |
21K12717
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
上林 真司 中京大学, 工学部, 教授 (60555415)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 義朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (30435862)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 呼吸測定 / 心拍測定 / ドップラーセンサ / 新生児 / テンプレートマッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
3個のドップラーセンサを使い,同時に3箇所の呼吸・心拍を測定できるセンサを開発した。3個の測定データの測定品質を決定する指標として,測定信号と,テンプレート波形からの残差の電力費(STRR:Signal to Template Residual Ratio)を考案し,STRRに基く選択ダイバーシチ,合成ダイバーシチ測定法を提案した。また,Zhuらが提案する弦近似法を改良し,測定信号(I, Q信号)から,呼吸・心拍信号を抽出する弦射影法を開発した。更に,カットオフ周波数の異なるHPFを用い,STRRに基いて使用するフィルタを決定するフィルタダイバーシチを提案した。 24人の成人に対して,提案法による呼吸・心拍測定実験を行った。ベッドの下に体幹に沿って3個のドップラーセンサを配置し(肩部,背中中央,腰部),仰臥,横臥,伏臥の状態の被験者の呼吸・心拍を測定した。また,左右の側面と頭頂にセンサを置いた場合についても測定実験を行った。実験の結果,心拍測定は,頭頂部での測定が最も精度が高いこと,ベッド下部の測定でも3個のセンサのダイバーシチ測定を行えば,被験者が安静な状態であれば,ほぼ全ての場合に,心拍間隔(RRI)の測定誤差は5%以下であり,RRIの時間変化も正確に測定できることを確認した。また,センサを被験者から10cm以下の距離に設置しているため,周囲の人の動き(外乱)の影響も少なく,被験者から30cm以上離れていれば,外乱の影響を受けないことを確認した。 名古屋大学附属病院内のNICUにおいて,コット内に寝ている新生児の呼吸・心拍測定を行った。新生児では,成人に比べ,心拍に伴う体表の振動の振幅が小さいため,心拍の測定精度は落ち,RRIの時間変化を正確に測定することはできなかったが,RRIの10秒間平均値は,新生児の体動がないときには,測定誤差5%以下で測定できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,3つの目標(体位の影響除去,外乱の影響除去,体動の影響除去)があり,理論検討,成人での検証,新生児での検証を行うことにしており,今年度は3年間の計画の2年目である。 これまでに,複数センサを同時使用するためのSTRR(Signal to Template Residual Ratio)に基くダイバーシチ測定法,基本的測定精度向上のための弦射影法,フィルタダイバーシチ法,外乱抑制のための近距離測定法を開発し,理論検討によりその効果を検証した。 また,24人の成人実験を行った。センサはベッドの下に体幹に沿って3個配置する場合と,側面と頭頂に配置する場合について実験した。被験者の体表からセンサまでの距離は約10cmとした。実験の結果,体動がない場合は,体位(仰臥,横臥,伏臥)の影響なく,心拍間隔(RRI)の測定誤差5%以下の測定が可能なこと,特に頭頂における測定は測定精度が高く,RRIの時間変化も正確に測定できることを確認した。外乱についても,被験者から30cm以上離れていれば,側面からの測定であっても測定精度に影響しないこと,ベッド下部からの測定であれば,被験者の上部に人がかぶさる状態でも,測定誤差5%以下の測定が可能なことを確認した。 また,新生児に対する実験も行い,成人の場合に比べ測定精度は劣化し,RRIの時間変化の測定は困難であったが,RRIの10秒間平均値は,体位の影響なく測定誤差5%以下で測定できることを確認した。 従って,研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,体動の影響除去の検討と,新生児における検証実験を集中的に行う。 体動の影響除去は,2つの方法を検討する。第1の方法は,送信アンテナと受信アンテナを分離し,MIMO(Multiple Input Multiple Output)を構成し,体表の動きの3次元速度ベクトルを算出し,呼吸・心拍の振動と体動を分離する方法である。従来の研究の多くは,1対の送受信アンテナのみを用いて1方向の速度ベクトルを抽出し,呼吸・心拍信号を導出していたが,提案法では,m個の送信アンテナとn個の受信アンテナを使い,m×n個の各伝搬路方向の速度ベクトルを算出する。提案法を使えば,任意の方向の運動について,3次元速度ベクトルを算出可能であり,これにより,呼吸・心拍による運動と体動を分離する。第2の方法は,機械学習の適用である。リカレントニューラルネットワークモデルを適用した機械学習により,準定常的信号(呼吸・心拍)と非定常信号(体動)を分離する。 まず,理論検討により,測定方法を絞り込み,実験により検証する。 新生児実験は,名古屋大学医学部附属病院のNICU(Neonatal Intensive Care Unit)において,10人以上の新生児に対して実験する。医療スタッフでも実験が可能になるよう,測定法を単純化し,可能な時に24時間以上の長時間測定もできるようにする。 また,研究成果の発表も精力的に行う。電子情報通信学会 ヘルスケア・医療情報通信技術研究会(MICT),論文誌B,IEEE International Conference on Biomedical and Health Informatics (BHI),Transaction on Biomedical Engineering(BME)等への投稿を予定している。
|
Causes of Carryover |
当該年度(2022年度)に,10人程度の新生児実験を予定していたが,成人実験に集中したこと,新生児実験は測定法確立後に多く実施ししたいと考えたことから,新生児実験のための支出が当初予算より少なかった。次年度は,測定法を簡易化し,医療スタッフでも実験を実施可能とし,新生児実験を集中的に実施予定であり,次年度使用としたい。
|
Research Products
(1 results)