2023 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポアDNAシーケンサーを応用したハイスループット結核菌遺伝子型別法の開発
Project/Area Number |
21K12721
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Research Institution | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
Principal Investigator |
村瀬 良朗 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 抗酸菌部 結核菌情報科, 科長 (80535998)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結核菌 / 分子疫学調査 / VNTR法 / ナノポア・シークエンス / 薬剤感受性予測 / ゲノム診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、結核菌のゲノムDNAをナノポア・シークエンサーで解読し、得られたロングリード配列を利用した新規VNTR解析法(ナノポア・VNTR法)を開発を実施した。本法の開発及び有用性を検証するため、以下の3点の研究を実施した。 1. クロロホルム存在下で結核菌体をビーズ振とう破砕することで、ナノポア・シークエンスに適したゲノムDNAを簡便かつ高収量に精製する方法を確立した。 2. 96株を対象として、従来法、イルミナ・シークエンス、ナノポア・シークエンスによるVNTR解析を実施した。ナノポア・シークエンスに基づくVNTR解析の従来法に対する一致率は、32領域中27領域で100%、残りの5領域でも81.4%から98.8%と高かった。一方、イルミナ・ショートリードを用いた場合の一致率は32領域全体で36.2%と低く、ロングリード解析の優位性が示された(p < 0.001)。 3. ナノポア・リードを用いた薬剤感受性予測において、ゴールドスタンダードであるイルミナ法に対する一致率が96.0%と高い精度を示した。 ナノポア・シークエンスを用いたVNTR法及び薬剤感受性予測において高い分析精度を示す方法論を確立できた。今後、分析精度100%を目指して、さらなる塩基配列解析工程の改良が必要である。従来法と比べて、ナノポアVNTR法は、迅速・簡便・安価・ハイスループットで検査を実施できるため、本邦の結核菌分子疫学調査において活用されることが期待される。
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[Presentation] 環境と安全性を考慮した有機溶媒不要の抗酸菌ゲノム抽出法(Organic Solvent Freeビーズ破砕法/OSFビーズ破砕法)の基礎検討2023
Author(s)
下村佳子, 村瀬良朗, 細谷真紀子, 永井水織, 大薄麻未, 森重雄太, 近松絹代, 青野昭男, 五十嵐ゆり子, 髙木明子, 山田博之, 御手洗聡
Organizer
第35回日本臨床微生物学会総会・学術集会
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[Presentation] 環境と安全性を考慮した有機溶媒不要の抗酸菌ゲノム抽出法の開発:エタノール滅菌効果の検証2023
Author(s)
細谷真紀子, 村瀬良朗,下村佳子,永井水織,大薄麻未, 森重雄太, 近松絹代,青野昭男, 五十嵐ゆり子, 髙木明子, 山田博之, 御手洗聡
Organizer
第35回日本臨床微生物学会総会・学術集会
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[Presentation] 次世代シーケンサーを用いた活動性肺結核患者喀痰からの迅速薬剤耐性予測法2023
Author(s)
高木 明子, 近松 絹代, 五十嵐 ゆり子, 青野 昭男, 下村 佳子, 細谷 真紀子, 永井 水織, 水野 和重, 吉田 志緒美, 森重 雄太, 村瀬 良朗, 御手洗 聡
Organizer
第35回日本臨床微生物学会総会・学術集会
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