2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an intraoperative identification of the recurrent nerve based on Raman spectroscopy to improve the prognosis of esophageal cancer
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21K12730
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
柴田 智隆 大分大学, 医学部, 講師 (20566905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 准教授 (00404369)
大嶋 佑介 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (10586639)
小川 雄大 大分大学, 医学部, 病院特任助教 (40733621)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食道癌 / ラマン分光法 / 反回神経麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌に対する標準治療はStage0期の早期食道癌とStageIVの進行食道癌を除き手術による根治切除である。その術後合併症である反回神経麻痺は、患者のQOL低下と死亡率に関連する重大な合併症でありながら術後高率に発症する。しかしながら、未だ発生予防方法は確立されておらず、新しい反回神経麻痺予防方法の開発は急務である。本研究では、次世代の術中光診断技術として昨今世界的に注目が高まっている「Raman分光法」を応用し、反回神経に触らずして手術を行うことで反回神経麻痺を予防するための画期的な手術方法、“Non touch neural isolation method(NOTON)”を開発することを目的とする。 令和3年度は、手術により摘出されホルマリン固定された腸管壁を用いて既存の高感度Raman顕微鏡を用いて切片のラマンスペクトルを網羅的に計測した。細胞が密集する粘膜上皮の表層・筋層と上皮の間質(主に脂質・膠原繊維)、および筋線維の各スペクトルをデータベース化し、組織部位ごとに平均スペクトルを比較して、腸管各層がラマンスペクトルにより判別可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間でポータブルラマン分光器を用いた臨床試験を行うことを目的としている。 令和3年度は当初の計画通り、ラマン分光法による腸管壁の判別を行うことができた。これは、脂肪組織や出血など様々な修飾物がある術野内で1mmに満たない反回神経の検索を行わなければならない食道癌手術時に、対象物に触らずして物質を特定する方法として「ラマン分光法」が実用可能であることを示唆している。本年度の成果は、ラマン分光法の神経組織同定のための基礎的検討の役割を果たしたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
高感度Raman顕微鏡を用いて、神経組織のRamanスペクトルが食道組織のRamanスペクトルと完全に差別化できることが明らかになった時点で、術中にラマンスペクトルを同定することを想定して、富山大学工学部と共同で小型卓上ラマン分光器を製作する。具体的には、レーザー強度を5倍以上、CCD検出器感度を2倍以上として、術中に1計測あたり1分以内で可能なファイバ型デバイスをレーザー照射部に装着する。将来的にファイババンドル化によるラマンイメージの取得も可能であるため、このデバイスを用いて大型動物実験(ブタ等)にて検証を行う。
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