2021 Fiscal Year Research-status Report
Realization of Multidisciplinary Understanding of Skeletal Muscle by Constructing Deep Learning and Model Integration Theory
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21K12731
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
神谷 直希 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (00580945)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 筋認識 / 深層学習 / セグメンテーション / モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の対象である骨格筋は,CT,MRIなどの画像において,多くの断層上で描出される.しかしながら,通常は対象疾患や周辺組織の読影に注力されるため,画像上の情報の有効活用としてコンピュータを利用した骨格筋の自動計測が期待される.特に,骨格筋は健康時より管理されるべきであるが,筋量などの正確な状態の把握は困難な課題である. これまでに我々は,モデルベースの骨格筋部位別認識や深層学習を用いた骨格筋の部位別認識に取り組んできたが,双方に利点と課題が明らかとなっている.特に,一般の画像処理タスクとは異なり,深層学習のための骨格筋のアノテーション作業は現実的ではなく,深層学習が適用できる筋は限られていた.本研究では,深層学習とモデル併用により,筋線維のミクロ・マクロ構造に着目した,AI時代の筋の記述法の提案による全身表層筋の認識の実現をゴールとする. 初年度は,本研究の主要なターゲットである表層筋のうち,全身表層筋を単一領域として自動認識する手法について,3D DCNNによる学習パッチ生成法による認識精度の比較を行った.部位別の骨格筋認識では,脊柱起立筋,僧帽筋,腹斜筋および棘上筋の認識手法を提案した.特に,部位別の骨格筋認識では,棘上筋のような小型の骨格筋に対し,骨格筋の付着骨の認識によるローカライゼーションが有効であることが明らかとなった.また,脊柱起立筋では,アノテーションの症例数や症例内におけるアノテーション枚数をそれぞれ10%と限定した場合においても90%以上の認識精度が維持されることが明らかになった.この脊柱起立筋を学習に併用することで,僧帽筋において認識が向上することが明らかとなった.同様に,体腔領域が大型かつ安定して認識可能な人体構造として腹斜筋の認識に利用できる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,表層部の骨格筋に対し,2つのアプローチによる認識法を提案した.すなわち,表層部骨格筋を単一の領域として認識する手法と,部位別の骨格筋認識である. 前者は,3D DCNNの学習において,対象症例から選択的に取得したスライスを学習症例とするVoxel Patch法と対象症例を切り出したボクセルの集合を学習データ群とする手法の比較を行い,提案手法は半数の学習症例で88.8%と良好な認識精度が得られることが明らかとなった. 後者は,部位別の骨格筋認識法として,脊柱起立筋,僧帽筋,腹斜筋および棘上筋の認識手法を提案した.特に,脊柱起立筋および僧帽筋は背面の大型の骨格筋であり,これらが認識可能となることにより,内接するその他の筋や臓器の認識や解析を必要とするシステムの先行ステップとして利用可能である.また,腹斜筋の部位別認識においては,安定して認識が可能な体腔の認識を事前ステップに組み込み,腹腔内における過抽出が原理的に生じない手法を提案することができた.他にも,小さな骨格筋として,棘上筋の認識では,先行して付着骨の認識を行うことで認識可能とした. 以上のように,当初の目標である表層部骨格筋の認識について,大域的な認識である単一領域としての認識法,さらに,部位別の骨格筋認識について,大型の筋や小型の筋の認識法を示すことができた.一方で,脊柱起立筋は良好な認識結果であり,隣接する他の骨格筋の認識に対する有効性を示すことができたが,腱画において分画される腹直筋などで同様の傾向を示すかは明らかにできていない.腹直筋では腱画において分画される各領域の扱いやその集合としての扱いをどのようにモデリングするかが,新たな課題である.以上より,「おおむね順調に進展している」とし,今後は,以下で述べる研究の推進方策に基づき研究を継続する.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の中間年である2022年度は,前年度までに得られた結果にもとづき,以下の項目について取り組むと同時に,これまでの実験結果の評価,検証を行う.同時に,学習用画像データベースについても,引き続き構築を続け,認識,解析技術の向上および手法の検証に用いる. まず,部位別の骨格筋認識では,初年度に明らかとなった複数の骨格筋の同時学習による同時認識について,腹部において検証を行う.特に,脊柱起立筋は腹部においても描出されているため,脊柱起立筋を用いた同時学習がどの骨格筋の認識に有効であるか,その一般性を検証する.その対象として,新たに,腰方形筋と腹直筋を対象とする.腰方形筋は体腔に隣接するとともに,脊柱起立筋にも一部は接する.そして,腹直筋は腱画において分画されるため,前面の大型の筋として背面の大型の骨格筋である脊柱起立筋との関係について明らかにする. 次に,これまでは2Dおよび3DのDCNNで解剖学的断面に基づく画像入力を行っていたが,DCNNに筆者らがこれまでに提案した人体構造の表現法である,CT画像の画像展開を導入することで,モデルベース手法の筋認識との併用への道筋をつける. 最後に,これまでの結果について,国際学会および国内学会において発表し,同時に論文発表を行う.これらは工学分野における新たな技術開発となるだけでなく,医学分野においても新たな知見が得られると期待される.
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Causes of Carryover |
参加予定の研究会が中止となったことや国際学会がハイブリッド開催になったことが主な理由である.その一方で,為替レートが円安傾向となったため,論文掲載費が予定よりも高くなった.この次年度使用額は,同様に円安傾向が継続しているため,次年度参加予定の国際会議の登録料等で支出予定である.
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Research Products
(8 results)