2022 Fiscal Year Research-status Report
ラマン分光法を応用した膀胱上皮内癌(CIS)診断技術の開発
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21K12738
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
松吉 ひろ子 東海学園大学, 健康栄養学部, 准教授 (10448772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英俊 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (10300873)
三宅 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80601400)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膀胱上皮内癌 / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットでも、少数ではあるが、膀胱上皮内癌(CIS)を誘導できることから、飲料水に0.05%濃度でN-Butyl-N-butan-4-ol-nitrosamine(BBN)を混合し、これを12週間与えることで癌形成を誘導した発癌モデルラットの摘出膀胱組織から、HE染色にて組織学的に膀胱上皮内癌(CIS)であった組織を選択して実験に使用することとし、実験に必要と考えられる数のCIS膀胱組織を準備することができた。また、ラットの膀胱に0.4 mol/L塩酸を週1回4週間注入することで慢性炎症モデルラットを作成した。こちらは、組織重量によりモデル完成の可否を判定し、実験の際に、顕微鏡観察により確認して使用する計画とした。ラマン分光分析は感度が良好なため、ワイルドタイプの正常組織測定が必要となる可能性はあるが、正常組織としてCISモデル動物の正常部膀胱を使用して実験を進めることにした。 移設した東京インスツルメンツ社製の顕微レーザーラマン分光装置(Nanofinder30)には、光源として生細胞に影響を与えにくい波長であり、ラマンスペクトルを測定するのに適切な出力を持ち、十分小さいスペクトル線幅であるrgb-lasersystems社製の固定波長半導体レーザー(波長785 nm、出力225mW、Spectral linewidth <10 MHz/0.05 pm)を選定し、それにアイソレーター、光学系を組み合わせて設計し、購入手続きを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属施設の実験環境自体を整備している最中であり、移設中の顕微ラマン装置についても、レーザー、アイソレーター、光学系物品(レンズ、プリズム等)の組み込みが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、顕微ラマン分光測定を行い、正常組織、膀胱炎、膀胱上皮内癌(CIS)の判別、励起光の進達性の検証を行う。この実験により正常組織、膀胱炎、膀胱上皮内癌(CIS)の3つの組織を判別できることが示された場合には、実際のヒトでの内視鏡を併用する検査を想定し、微小ラマンプローブを用いた測定での3つの組織の判別性についても考慮する。さらに、各ラマンスペクトル・解析結果を各種の化学物質(蛋白質、遺伝子等)のスペクトルと比較することにより、疾患による組織変化の原因について考察し、ラマン分光の診断技術としての有効性に加え、基礎研究への応用の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
顕微レーザーラマン装置に、レーザー、アイソレーター、光学系物品(レンズ、プリズム等)、対物レンズを組み込む予定で進めていたが、設置場所の環境整備に時間がかかり、機器購入が次年度になる。
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