2021 Fiscal Year Research-status Report
Non-contact inhibitory method for biofilm and infection using electro-magnetic field.
Project/Area Number |
21K12739
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
三浦 英和 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 准教授 (50451894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼松 秀行 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 特命教授 (10185952)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 交流電磁場 / ラボラトリーバイオフィルムリアクター / インピーダンス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌は外乱から身を守り栄養を共有するため種々の細菌が集まりバイオフィルム(BF)を形成する。ほとんどの慢性病の主要感染源においてBFが形成されていることが明らかとなっている。日常生活においては悪臭などの衛生上の問題を引き起こす。抗菌剤の乱用は多剤耐性菌の出現を促し、感染症の抑制をさらに困難なものにする。そこで本研究では交流電磁場を新しいBF抑制方法として検討する。 <方法> 細かく調整出来るように可変コンデンサ、より損失の少ない励磁コイルと送風ファンとウーターバスを設置することで温湿度管理を向上させた。大腸菌などの菌種を準備し、適切な条件下で培養した後、培養皿に移し交流電磁界を印加した状態でさらに培養を続けた。先行研究では10 kHz, 1 mT, 1週間の交流電磁場でBF形成が抑制されることが明らかになっているが磁場強度とBF形成の抑制周波数の関係を調べた。0.1mTから1.0mTまで磁束密度に変化させた場合において,特定の周波数にてBF形成の抑制を確認できた.磁束密度を減少させると,BF形成の抑制効果が見られる周波数も減少している事が分かり,磁束密度とBF形成の抑制効果を認める周波数は正の相関関係にあることが示唆された。また、細菌培養液の濃度とBF形成抑制の関係を調べた結果、濃度が低いほど交流電磁界によるBF形成抑制効果が高いことが示唆された。 これまでのラボラトリーバイオフィルムリアクター(LBFR)では循環経路が複雑で安定した形成条件を与えることが難しかった。そこでシャーレ中にコーン・プレートを留置し、ファンの風力により回転する新しいLBFRを開発した。 BF形成抑制のメカニズムの解明のため櫛型電極とインピーダンスアナライザを使用して種大腸菌(E.coli)培養液の周波数特性を測定した。菌液の場合、複数の分散が連続的に起こっていること見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により共同研究者研究同士の往来や卒研生の登校が制限されたことに加えて感染対策や遠隔授業対応で大幅に業務が増加したことにより、計画通りに進めることは難しかった。そのような中でも個別実験できるラボラトリーバイオフィルムリアクターの小型高性能化、インピーダンス法によるバイオフィルム、細菌の検出に研究を展開した。
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Strategy for Future Research Activity |
交流電磁場印加システムの改良を受け、当初計画していた様々な菌種、濃度、周波数、磁束密度を網羅的に変化させてBF抑制の条件を探索する実験を進める。S.epidermidis, E.coli,P.putida, P.fluorescens, B.deminuta等の菌を適切な条件で培養し、周波数を4k~30kHzまで磁束密度を0.1m~5mT程度とする。同時にBF抑制のメカニズムを検討する。これは最適な電磁場条件をより早く見つけるための鍵になると考えられる。櫛型電極とインピーダンスアナライザを使用して種々の濃度に希釈した大腸菌(E.coli)培養液の周波数特性と位相特性の変化を測定する。菌液の場合、複数の分散が連続的に起こっていると考察でき、細菌の検出の可能性を見出した。これを磁場に対する周波数応答にも拡張し、エネルギー吸収の極大値を探索する。現実世界でBFは複数の細菌が絡み合って形成されることが普通である。水循環系において環境常在菌を増殖させBFを形成されるラボラトリーバイオフィルムリアクター(LBFR)を活用できる。これまでのLBFRでは循環経路にチューブの接合部や段差があり、資料切片に安定した形成条件を与えることが難しかった。そこでシャーレ中にコーン・プレートを留置し、ファンの風力により回転する新しい卓上LBFRを開発した。このLBFRではシャーレ底面のガラス片などの資料に一様なずり応力を与えることができ、流路に余分な段差もないため小型高精度なBFの培養が実現ものと考えられる。また、シャーレ底面から観察と撮影、電磁場の印加を行い、より実用に近い条件で実験を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により大幅に旅費が減ったことに加えて教員に定常的に支給される予算の使用額が減り、次年度使用が出来る予算を確保するようにしたため。
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