2023 Fiscal Year Research-status Report
Non-contact inhibitory method for biofilm and infection using electro-magnetic field.
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21K12739
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
三浦 英和 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 准教授 (50451894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼松 秀行 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 特命教授 (10185952)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 交流電磁場 / ラボラトリーバイオフィルムリアクター / インピーダンス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では交流電磁界がバイオフィルムとその形成に及ぼす影響について明らかにすることが抑制メカニズムの解明につながると考え、バイオフィルムの電気的挙動を検討した。流れのある状態でのバイオフィルム形成は、材料表面のせん断応力の影響を受けることが指摘されている。このため、新たに開発したラボラトリーバイオフィルムリアクターを使用して、流れのある状態でインピーダンス計測を実施した。電界、電流による作用と磁界による作用があるが、前者について広い周波数範囲(40Hzから100kHz)におけるインピーダンスの経時変化を計測した。抵抗成分、リアクタンスそれぞれ時間とともに増加した。特にインピーダンスの位相特性に顕著な変化が認められた。このことは計測開始当初は電極と媒質の間に形成される電気二重層と媒質の抵抗が観測されるが、次第に電極表面にバイオフィルムが形成され、ポリマーに由来する容量成分と抵抗成分が直列に追加される形でインピーダンスが観測されたと考えられる。クリスタルバイオレット染色を行ったところ、より薄く均一なバイオフィルムが形成されており、静置系での培養におけるインピーダンス計測と比較すると、より明確に電気的特徴が現れたと考える。電磁界暴露によるバイオフィルム抑制については、研究分担者の兼松が中心となって策定したISO基準に準拠した評価方法で菌液と30mm角の試験片を50mm内径のカップに入れ培養する。このカップを覆う専用のコイルを作成し、磁場を印加しながら培養する実験系の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インピーダンス計測の自動化とバイオフィルム形成の自動撮影、AIの活用などの研究実施の効率化に勤めている。コロナ禍で限られた時間と行動制限の中で研究を迅速に遂行し、さらにはアフターコロナにおいても研究を加速するため対策が重要であることを実感している。特に多種の菌種について電磁界による抑制効果における周波数、磁界の強さの依存性の網羅的な実験を遂行することは難しいため、インピーダンス計測等による電磁界による挙動の変化や経時観測によるアプローチによりメカニズム解明を指向した研究手法が有効であると考えた。このような中でも兼松らはバイオフィルムの評価方法をISOの規格化を実現した。例えば試験片の大きさを30㎜角とする、清拭手技を規定するなど実験精度と確度の向上を実現した。このことは本研究においても電磁界のバイオフィルムの形成の影響をより明確に示すことことを可能にした。本規格に基づく実験系の構築を行い、これまでの実験で効果が認められた条件について検討を開始した。また小型水槽とエアレーションを用いた簡便なリアクターを考案し、バイオフィルムのインピーダンス法による検知の可能性を見出した。 本邦でも新型コロナ禍の影響からようやく脱したのかもしれないが大学入学時よりコロナ禍に見舞われた学生たちは、この間遠隔授業を中心に過ごしてきた。相変わらず実習系科目において到達度と認知力の低さが認められ各教員は補講やリメディアル教育などの対応に忙殺されている。すなわち自ら考え手を動かして実施する研究教育は究極のアクティブラーニングラーニングといえる。そのため学生を研究に参加させる研究の進展と教育の質向上を同時に図ることが重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
抑制効果における周波数、磁界の強さの依存性の網羅的な実験を遂行することは難しいため、菌種を表皮ブドウ球菌もしくはラボラトリーバイオフィルムリアクターを用いた環境常在菌の実験に絞る。表皮ブドウ球菌はバイオフィルム形成が安定しており、評価系も確立している。他の細菌では材料の違い等からバイオフィルム形成条件を見直す必要がある場合があるため、静置法における実験では扱いやすい表皮ブドウ球菌に対して集中して実験、計測を行う。 表皮ブドウ球菌を静置培養した実験とラボラトリーバイオフィルムリアクターを用い環境常在菌のバイオフィルムのインピーダンス変化が顕著なものであったためセンシングへの応用の可能性と形成抑制へ電界による影響が示唆された。そのため、コイル状の電極を配管内部などに設置し、外部コイルから交流電磁界により内部コイルに誘導起電力を生じさせ、内外のコイルの磁気的なカップリングによりバイオフィルムの形成をセンシングする方法、交流電界と電流によりバイオフィルム形成を抑制する方法を試みる。外部コイル及び駆動装置はこれまでに使用したものそのまま流用でき、内部コイルはインピーダンス計測に用いた櫛形電極と同様にフォトリソグラフィとエッチングにより作成する。バイオフィルムの評価については研究分担者の兼松が中心となって策定したISO基準に準拠した評価方法で菌液と30㎜角の試験片を50㎜内径のカップを用いて評価を行う。また、直接電極により交流電界を印加し場合と交流磁界、電磁誘導を用いた場合の抑制効果の差異を検証する
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Causes of Carryover |
コロナ禍に伴う行動制限により研究活動が停滞し消耗品費、特に出張費が支出が大幅に減ったことにより予算の使用状況が少ない理由である。コロナ禍の制約から脱し研究活動を充実させるべく勤めているが、教育体制の変革によって起きた業務の増大は続いているため、研究実施計画と期間を見直し、研究期間を延長してまとまった成果を出せるように努めるてきた。本年度は早期に必要な機材、消耗品を購入し研究体制の充実に努める。また、本年度は成果発表に係る費用に多くを充てる予定である。
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[Journal Article] AC Electromagnetic Field Controls the Biofilms on the Glass Surface by Escherichia coli & Staphylococcus epidermidis Inhibition Effect2023
Author(s)
Natsu Aoyama, Hideyuki Kanematsu, Dana M Barry, Hidekazu Miura, Akiko Ogawa, Takeshi Kogo, Risa Kawai, Takeshi Hagio, Nobumitsu Hirai, Takehito Kato, Michiko Yoshitake, Ryoichi Ichino
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Journal Title
Materials
Volume: 16
Pages: 7051
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research