2021 Fiscal Year Research-status Report
A study on factors of the voice to enhance self-expressive functions by developing multiple devices in parallel to support speech disorders
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21K12771
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藪 謙一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (50626215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏明 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40248670)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 音声 / 発声 / 構音障害 / 音声フィードバック / 支援機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、発声、構音、音声フィードバックのそれぞれの音声機能要素について、代表者らが開発してきた、電気式人工喉頭、音声変換システム、話速変換システムの技術を基礎として、個々の音声要素を制御可能とする要素デバイスを開発し、独立に制御される音声要素について臨床・実験データの収集を行い、自己表現機能にどのように影響するかを調べていく予定であり、初年度である2021年度は、各種の音声支援機器、アプリ開発を行った。 電気式人工喉頭については、先行研究の線形予測変換による原音生成のアルゴリズムとノウハウを活用し、ウェアラブルな電気式人工喉頭の開発が行われている。 構音機能を補完するデバイスの開発については、先行研究で開発中のウェアラブルな試作機について音質向上のための改良を加えた。結果、信号処理上の動作改善されたが、音声入出力に関する電源供給部分に課題があることが示唆されたため、今後の改良点とする。 音声フィードバック機能について、脳・神経系の患者において、タブレット型端末を用いて、話速変換した音声を話者へ適切にフィードバックするアプリ開発を行った。このアプリを利用して、言語聴覚士のご協力を頂き、患者の言語訓練にどのような効果があるかを、調べていく予定である。 また、自己表現機能に関連して、声だけでなく音楽を活用した重度障害者の取り組みについて、学会において事例の紹介とともに考察した。 以上、声に関する、発声、構音、フィードバックの3つの機能に分けた機器開発により、各種の課題抽出や調査の準備が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、発声機能・構音機能・音声フィードバック機能について、電気式人工喉頭、音声変換システム、話速変換システムの改良とアプリ開発を行い、一定の成果を得たものと考えている。 一方で、COVID-19の流行による行動制限や研究体制の制限によって、患者の協力が得づらい状況になっており、音声の取得にやや遅れが生じた。 また、システムの開発についても、電気機器や部品の入手が例年よりも難しい状況が続いており、開発にもやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な方針については、変更を加えず、各種のシステムの改良と、調査を進めていく予定である。 (a)発声機能について、開発済みの電気式人工喉頭のシステムを利用して、呼気センサによる制御機能を加えた実験装置を試作し、呼気と抑揚の関係性を調べ、話者による抑揚表現の向上を目指す。また、話者による声帯音の特性を振動子や入力デバイスの開発とともに、波形特性の各要素の役割を検討する。 (b)構音機能について、これまでに開発してきた第1ホルマントと第2ホルマント(F1-F2)に対応する盤面上でゆびを操作しその位置と動きにより音を無段階的に変化させる音声生成器改良について、2021年度で明らかとなった課題を反映させて、動作を安定させる。「構音機能」のみに障害があり「発声(原音生成)機能」は正常な場合を想定し、(b1)音声を制御するための音声入出力システムや操作デバイスに改良を加え発話と同期した操作の追従性を改善する。また、 (b2)声の周波数スペクトル成分をさらに分類して不明瞭の原因成分のみを補完(例えば、F1のみF2のみなど)できるような音声要素の補完方法を探る。 (c)音声フィードバック機能について、2021年度に開発したアプリを用いて、脳・神経系の患者のうち、構音障害が生じている患者について、話速変換した音声を話者へフィードバックさせる効果を検証する。また、同様の手法を日常の支援方法として利用可能かどうかも検証していく。 上記の基礎データ収集と技術開発のプロセスを繰り返して行い、医療関係者・患者団体などからの意見を頂きながら、音声要素の制御機能の向上を図り、2023年度以降には、それらの役割を臨床的な観点から整理し、初心者でも扱いやすい実用機としての支援器・アプリの設計・開発を行い臨床的な実用化を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行による行動制限や研究体制の制限によって、患者の協力が得づらい状況になっており、音声の取得にやや遅れが生じた。 また、システムの開発についても、電気機器や部品の入手が例年よりも難しい状況が続いており、開発にもやや遅れが生じている。 主に、上記の理由から、電子部品や各種機器の費用、成果発表、打ち合わせの費用など全般に未使用分が生じた。 基本的な方針には変更がないため、次年度に引き続き、電子部品や各種機器の費用、成果発表、打ち合わせに使用する予定である。
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