2021 Fiscal Year Research-status Report
VRを利用したバリアフリー検証用車椅子シミュレータの開発
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21K12785
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山田 宏尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (80240034)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / 車椅子 / シミュレータ / VR酔い |
Outline of Annual Research Achievements |
車椅子の速度および旋回速度から仮想空間上の車椅子の位置をリアルタイムに計算することで,車椅子の位置を視覚により提示できる数学モデルを構築した.本数学モデルの妥当性については,折り返しのあるスロープに基づく被験者実験により検証した. また,VR酔いは回転運動時に,より頻繁に,より強く発生する.さらに,回転運動の中でもヨー回転時にVR酔いがより強く発生する.そこで,本研究ではVR酔いがより強く発生しやすいヨー回転時に着目しVR酔いを軽減できる手法を提案した.本手法を実装したシミュレータを用いた評価実験により,その有効性と交互作用を検証した. 評価実験では,仮想空間を走行する被験者実験を行い,その後主観評価としてSimulation Sickness Questionnaire(SSQ)とアンケートを行った.提案した固定格子配置手法と輝度抑制手法ではVR酔いが軽減され,多重比較の結果,有意差が認められた.また,分散分析の結果,2つの手法の交互作用が有意であった.固定格子配置手法では,視野内に配置した格子が操作者の行う回転や移動を理解するための助けになり,視覚と体性感覚のズレを抑制したためと考えられる.輝度抑制手法では,周辺視野に映像加工を施すことで,移動時のベクション発生による感覚の不一致を抑制したためだと考えられる.移動感覚,臨場感,及び没入感は全てのパターンにおいて統計学的有意差は認められず,本手法を用いても殆ど低下しないものと考える.これにより提案した2つの手法はVR酔い軽減に効果があることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
住宅設計の評価項目において情報支援システムがどのように影響するのかについての知見を得ることを目的とし,新たな環境として折り返しのあるスロープに着目し,被験者実験により評価項目による手法間の違いや実機との相違点を検証できた.また,VR酔いがより強く発生しやすいヨー回転時に着目しVR酔いを軽減できる手法を提案した.そして,本手法を実装したシミュレータを用いた評価実験により,その有効性と交互作用を検証できた.
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Strategy for Future Research Activity |
開発したシミュレータを用いた評価実験を行い,仮想空間での走行が現実空間と同様の結果が得られるかをさらに詳細に検討し,本シミュレータの有効性を調べる.また,車椅子の力学的数学モデルの精度を高めるために,車椅子を改造した計測システムを製作し,車椅子シミュレータのための物理モデルと実際の動作特性との比較検証を行う.評価実験では,曲がり通路などの通行可能性に関し,開口幅と車椅子寸法との関係を現実空間とVRとの比較により検証する.さらに坂道走行時の視覚情報に対する適切な傾斜角度の検討を行うための評価実験を行い,本シミュレータの有効な傾斜角度提示についても検討する.スロープや曲がり角を持つ実際の走行路を用いて現実空間とVRとで被験者実験を行い,その後,主観評価としてSimulation Sickness Questionnaire (SSQ)とアンケートおよび発汗・心拍等に基づく生理的評価等を行い本シミュレータの実用性およびVR酔いの低減可能性について検証を行っていく.
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Research Products
(1 results)