2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a rehabilitation training device aimed at activating the brain by a body stimulation approach
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21K12805
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
鶴田 和寛 九州産業大学, 理工学部, 教授 (60389236)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳活動データの分類 / 人工知能 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はコロナ禍等の影響により当初の計画を変更せざるを得なくなったため、2018年度に取得したランダムな電気刺激に対する脳活動データに基づき、人工知能を利用した脳活動データの解析・分類手法の開発に主眼をおいて以下を実施した。 健常な被験者5名に対しランダムな電気刺激を与え、LABNIRS(脳血流測定装置)によって測定された、①静止座位、②静止座位+上腕二頭筋刺激、③静止座位+ふくらはぎ刺激、④静止座位+腹部刺激、の4種類の刺激状態による脳活動データ(時系列の脳血流酸素濃度値)から脳活動マップを5秒間隔で作成した。次に、時系列データ(1040個=52ポイントの脳血流データ×5名×4種類の刺激状態)をAI(NNPR:Neural Network Pattern Recognition)を利用して分類した。その結果、20カテゴリ(5名×4種類)の分類精度89.2%、5カテゴリ(被験者で分類)の分類精度89.4%、4カテゴリ(刺激状態で分類)の分類精度88.7%、を実現した。同様に、脳活動マップ(720画像=36画像×5名×4種類)をAlexNetをベースにした転移学習を利用して分類し、20カテゴリ(5名×4種類の刺激状態)の分類精度97.1%、5カテゴリ(被験者で分類)の分類精度99.3%、4カテゴリ(刺激状態で分類)の分類精度90.3%、を実現した。被験者による分類精度が特に高いことから、刺激と脳活動の関係性は個人差が大きいことが示唆された。また、刺激状態での分類精度も90%を超えていることから、上記①~④の刺激状態において、どのような刺激が脳をどのように活性化させるのかという変化の特徴が得られることが示唆された。以上のように、初年度の目標(変更後)としたAIを利用した脳血流データの解析・分類手法は開発できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の研究計画は、電気刺激の周波数と大きさと場所を変えた場合における電気刺激と脳活動データの関連性を脳に疾患のない健常者を対象として調査し、次に、電気刺激における脳活動マップを作成し、どのような刺激を与えれば脳のどのあたりの活動がどのように変化するのかを明らかにすることであった。 しかし、コロナ禍が続き新たな被験者の確保が困難だったこと、LABNIRS(脳血流測定装置)の測定チャンネルに不具合が生じたこと(現在は修理済)から、[研究実績の概要]で述べたとおり、脳活動データの解析・分類手法の開発を行い、90%以上の分類精度を達成する方法を開発することができた。しかしながら個人差が大きいこと、与えた刺激が一定ではなかったこと、脳活動マップを作成する際の頭部座標位置が不正確であったことなどから、どのような刺激を与えれば脳のどのあたりの活動がどのように変化するのかという傾向を特定できず、目標とした脳活動モデルの作成まで進められなかったため、進捗状況を(3)やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度以降は、人間科学部(学内)から一定周波数かつ一定振幅の電気信号が出力可能な装置(超音波治療器インテレクトモバイルなど)を借用し、定点刺激(電気刺激)と脳活動の関係を明らかにして、簡易的な脳活動マップを作成する。また、令和4年度に購入を予定してる生体計測装置(筋電図、心電図、脳波)を利用して脳波を計測し、LABNIRSで取得する脳血流データと合わせて、脳活動の特徴量をより詳細に調査する。さらに、総合機器センター(学内施設)が所有するfMRI(磁気共鳴機能画像法)装置を利用して、被験者の頭部座標を正確に測定し、脳血流データおよび脳波とマッチングさせることで、脳活動マップの精度を向上させ、個人差を考慮したテーラーメイド医療に繋がる脳活動モデルの作成に着手する。 次に、電気刺激の他に、できるだけシンプルな体刺激として、香料(リラックス効果、覚醒効果など)による脳活動の違いを調査し、新たな視点からの脳活動モデルの作成にも取り組む予定である。 コロナ禍が続き、医療機関と連携した臨床試験が出来なくなったため、本研究の最終目標(リハビリによる治癒効果の検証と改善)を若干変更し、運動刺激、電気刺激、香料刺激などで作成した脳活動モデルを利用し、体刺激と脳活動マップおよび生体信号などの相関から、体刺激でどれくらいのリハビリ効果が出ることが予想されるのか(リハビリによる治癒効果の予測)を、医療従事者の知見および医工学文献などを参考にして考察する予定である。
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Causes of Carryover |
交付額が減額されたため、優先順位の高い物品から購入した結果、17300円の次年度使用額を生じてしまった。翌年度の電気部品代に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)