2021 Fiscal Year Research-status Report
古典外延的メレオロジーの可能性と限界に関する論理学的・形而上学的探究
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21K12827
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
北村 直彰 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 講師 (60771897)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メレオロジー / 論理学 / 形而上学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、本研究の論理学的側面の一つとして、いくつかの部分と一つの全体のあいだに成り立つ構成(composition)関係の論理的身分に関する研究を進め、本研究課題遂行のための一つの基盤となる成果が得られた。具体的には、このテーマに関する論文集*Composition as Identity* (A. Cotnoir and D. Baxter (eds.), 2014) や、それ以前・以後に出版された同テーマに関する諸研究論文を主な対象としたサーヴェイを行い、以下の成果が得られた。 (1) 構成関係を多対一の同一性関係(もしくは、重要な点でそれに類似した関係)とみなす(〈同一性としての構成〉テーゼを認める)立場に関して、近年の論争が整理されるとともに、〈同一性としての構成〉テーゼから無制限構成の原理(古典外延的メレオロジーを特徴づけるテーゼの一つ)を論理的に導出しようとする議論の難点が明らかになった。 (2) 構成関係を形而上学的な「基礎づけ(grounding)」関係として捉えることによって〈同一性としての構成〉テーゼに新たな解釈を与えようとする近年のアプローチが、従来のアプローチに比べて穏健さ・明晰さ・応用可能性の点で優れていることが明らかになった。 以上の成果は、古典外延的メレオロジーを話題領域によらず適用可能な唯一の体系として擁護しようとするこれまでの議論の主要な理論的基盤として〈同一性としての構成〉テーゼが用いられてきたことをふまえると、古典外延的メレオロジーの可能性を検討するうえで一定の重要性をもつと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標としていたサーヴェイ論文の完成には至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度における本研究の成果をサーヴェイ論文の形にまとめたうえで、古典外延的メレオロジーを特徴づけるテーゼの一つである外延性の原理に対してこれまでなされてきた動機づけと、この原理に対する反例として提示されてきた事例をそれぞれ批判的に検討する作業(本研究の形而上学的側面の一つ)を進める。
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Causes of Carryover |
英文校閲費が当初の予定よりも安価だったため、次年度使用額が生じた。翌年度の英文校閲費として当該金額を使用することを計画している。
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