2022 Fiscal Year Research-status Report
Psychologism in 19th Century German Philosophy : in Light of Early Neo-Kantianism
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21K12830
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
辻 麻衣子 清泉女子大学, 文学部, 非常勤講師 (40780094)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新カント派 / 心理主義 / トレンデレンブルク / フィッシャー / コーヘン / 生理主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を遂行するにあたっては、3つの柱(1. ヘルムホルツのテクスト検討、2. 初期中期コーヘンのテクスト検討、3. 前記の2つの分析を通じた19世紀後半の ドイツ哲学における心理主義の解明)がある。2年目である2022年度は、そのうち2. 初期中期コーヘンのテクスト検討を主に進めてきた。具体的には、初期から中期にかけてのコーヘンが心理主義批判へと転じる契機となったと言われるトレンデレンブルク‐フィッシャー論争に焦点を当て、この論争に関わるテクストを詳細に分析した。トレンデレンブルクは若きコーヘンの師であったが、このトレンデレンブルクが『論理学探求』(1840年)にて示したカントの時間空間論に対する見解に対し、若手哲学者クーノ・フィッシャーは『論理学と形而上学の体系』第二版(1865年)で異論を提出した。これら二つのテクストを中心に、当該の論争について述べられた同時代のテクストも参照しつつ、トレンデレンブルク‐フィッシャー論争が19世紀中葉のドイツにおいていかなる意味を持っていたのかについて明らかにする試みを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トレンデレンブルク‐フィッシャー論争を中心としたテクストの分析、解釈については順調に進展しており、成果の発表も順次行うことができている。また、19世紀ドイツにおける、哲学をはじめとして生理学、心理学、物理学といった近接領域を含めた学問的状況がいかなるものであったか、という射程の広い問題関心は本研究にとって大きな意味をもつが、こちらについても若手専門家を集めた研究会を開催し、大きく進展したと言える。ただし、2021年度には十分遂行できず引き続き進めていた1.ヘルムホルツのテクスト検討は、やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は、1. ヘルムホルツのテクスト検討をさらに進めると同時に、2. 初期中期コーヘンのテクスト検討を本格的に開始する。具体的には、進行中であるトレンデレンブルク‐フィッシャー論争の分析を完了したのち、コーヘンの『カントの経験の理論』(1871年)のテクスト解釈に着手する。
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Causes of Carryover |
2022年度末に開催した研究会の会計処理が年度をまたいでしまったため。
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Research Products
(3 results)