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2023 Fiscal Year Research-status Report

Study on the concept of madness in Plato's thought

Research Project

Project/Area Number 21K12832
Research InstitutionChubu University

Principal Investigator

三浦 太一  中部大学, 人文学部, 講師 (60847531)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords古代ギリシア哲学 / プラトン / 狂気
Outline of Annual Research Achievements

プラトン哲学における狂気の意義の解明のため、2023年度は、『パイドン』篇における人間における健康と病の考察に注力した。特に同作品の中の「親近性の議論」と呼ばれる箇所において、狂気という概念を理解するための背景知識となる、魂の健康と病という対概念について知見を得ることを試みた。この研究成果は、西洋古典研究会第八十四回大会において、「プラトン『パイドン』における魂の健康と病――「親近性の議論」の分析から」という題目で口頭発表された。 通常、身体的感覚機能の使用そのものや、身体的欲望を有すること自体は、直接的には病であるとはみなされない。しかし、「親近性の議論」は、魂の神的存在への類似性を示すと同時に、神的存在と共にあることを促進する知的活動への集中を魂の本来の状態であると規定する。他方で、それを妨害する身体との関わりを、哲学者にとって避けるべき有害なものとしている。これらの規定により、作品特有の健康/病についての理解が得られた。すなわち身体自体が人間にとって病の契機となり、知的活動への集中が魂の本来のありかた、健康を与えることになる。
上記の研究と並行して、米国の出版社から出版予定である、『パイドン』篇における自己探求というテーマについて論じた書籍の、第一章から第四章の草稿を準備した。この書籍においては、哲学者が自己自身の知的欲求について把握することが『パイドン』の主題として重要であることを主張している。著しく巨大になった欲望は古代ギリシアにおいて狂気の原因とみなされることがある。また、プラトン著作においては、欲望のあり方が人間本来の、あるいは、逸脱した状態を示している。そのため、欲望への考察が狂気理解についてさらなる知見をもたらすと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

一昨年度から、研究代表者自身と、幼児を含む家族の体調不良が継続しており、計画通りに研究を遂行することに困難が生じた。そのため今年度は、研究対象を『パイドン』に絞り、口頭発表を行った。

Strategy for Future Research Activity

2023年度に作成した『パイドン』における魂の健康と病についての研究成果を、学術雑誌に発表することを目指す。同時に、おなじく『パイドン』における欲望と自己探求を考察した書籍の執筆を進め、この書籍内部でも、狂気についての研究成果を提示することを試みる。
また、プラトン他対話篇の分析を、上記の『パイドン』研究において、対比対象として提示することを計画している。特に『国家』におけるエロース(恋)の狂気についての考察がこの対比において重要だと考えている。

Causes of Carryover

研究計画の遅れと、発注した書籍のキャンセルが発生したことから、計画通りの予算使用にはならなかった。継続して研究用書籍購入を行うと共に、現在執筆中の英語論文、著作の英文校正費用として使用する計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] プラトン『パイドン』における魂の健康と病――「親近性の議論」の分析から2023

    • Author(s)
      三浦太一
    • Organizer
      西洋古典研究会第八十四回大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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