2021 Fiscal Year Research-status Report
ネオプラグマティズムのヘーゲル理解を通した近代日本哲学の行為論的解釈の試み
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21K12835
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
竹花 洋佑 福岡大学, 人文学部, 准教授 (60549533)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歴史主義 / 時間 / 国家 / 田辺元 / 実存協同 / スピノザ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は田辺元の哲学に焦点を当てて研究を進めてきた。本研究は、田辺元、西田幾多郎といった近代日本哲学者の論理の意味を、ネオプラグマティズムのヘーゲル理解を手がかりとして明らかにすることにあるので、論理という観点からの両哲学の内在的研究は不可欠である。田辺において、論理の理解は、彼の歴史主義という独特の立場と結びついており、これが同時に田辺のヘーゲル理解の核となる考え方なので、田辺の言う歴史主義の意味を明らかにする研究を行った。その研究は、(1)彼の歴史主義の立場の生成の仕方を解明することと、(2)その哲学史的・思想史的意味を理解すること、との二つの観点からなされ、(1)の研究においては、田辺の歴史主義という発想と彼の国家論・時間論との結びつきが明らかにされ、(2)の研究においては、多様な意味合いでこれまで語られてきた歴史主義のあり方を整理し、それとの関係で田辺の歴史主義のもつ意味と可能性とを明らかにした。(1)の成果は、論文「国家・時間・歴史主義」として、(2)の成果は「歴史主義としての田辺哲学」として、それぞれ発表した。 また、その他にも、「実存協同」という概念に代表される田辺の共同体をめぐる思索を歴史的に整理し、その可能性を探る研究や、田辺のスピノザ理解の意味を明らかにする研究も行った。ヘーゲル理解においてスピノザ哲学は重要な意味を持つので、本研究の目的にとって後者の研究は特に重要な意味をもつと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
西田・田辺およびそれとヘーゲルとの関係についての研究はかなり順調に進んでいるが、こちらの研究に精力を注いだため、ネオプラグマティズムとの比較についての研究に遅れが生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的に照らし合わせたかたちでの、西田・田辺、ヘーゲルについての文献読解はほ完了しているので、2022年度および2023年度に割り当てられていた、それらの研究については完了したとみなし、残りの期間をネオプラグマティズムについての研究に割り当てることで、研究の遅れを取り戻していく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度の研究遂行において必要な物品等はすべて上で記載されている支出額でまかなうことができたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、2022年度において書籍を購入するための消耗品費として計上する。
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Research Products
(5 results)