2021 Fiscal Year Research-status Report
科学普及活動家ルイ・フィギエとフランスにおける心霊主義
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21K12855
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
槙野 佳奈子 宇都宮大学, 国際学部, 助教 (40844808)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 科学普及活動 / 科学史 / 19世紀フランス文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2021年度)は「科学普及活動家ルイ・フィギエとフランスにおける心霊主義」として3年間の予定で進行している研究の1年目に該当する。 本研究は、19世紀フランスの科学普及活動家であるルイ・フィギエ(Louis Figuier)の著作を中心に分析し、当時の社会において流行していた心霊主義と、この人物との関係について考察するものである。 ルイ・フィギエは、当時のフランスにおいて人気作家の一人として位置づけられていた。彼は科学知識を一般に広く普及させる著作を執筆したことで知られているが、彼は科学の側の立場を保持しながらも、当時流行していた心霊主義にも関心を示していた。フィギエにとっての科学とはいかなる存在であったのかを考察することで、私たちは日常生活の中で「科学」をいかに認識していくのかという問いについても、現代の視点から検証していくことを試みた。 本年度は特に、降霊術の一つとして19世紀のフランスで流行した「回転テーブル」に対する社会の反応とフィギエの見解を対比させて彼の独自性を明らかにすると同時に、急速な都市化の進むパリにおいて人々の間に広がっていた一種の漠然とした不安について、思想史の観点から描き出すことを試みた。 具体的には、フィギエと降霊術の関係について口頭発表を2件実施した。また、19世紀のパリに関するベンヤミンの著作と、探偵小説の歴史を紐解いたメサックの著作との関係を考察した論文が1件、刊行された。また、共訳書が1件、刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症の影響により、今年度も海外調査はできなかったが、書籍として購入できる資料をできる限り収集して研究を進めることができた。口頭発表2件を実施することができ、論文1件、共訳書1件が刊行された。
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Strategy for Future Research Activity |
もし海外渡航が可能となれば現地での資料収集を実施する予定であるが、感染症の影響により渡航が引き続き不可能な場合は、国内で利用可能な資料をもとに調査を進めていく。
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Causes of Carryover |
感染症の世界的な流行の影響で、本来予定していた海外渡航が実施できず、その金額が次年度使用額として生じることになった。 次年度も渡航ができない場合は、国内で利用可能な資料を中心に引き続き調査を進める。
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Research Products
(4 results)