2021 Fiscal Year Research-status Report
Martin Buber's Biblical Hermeneutics -A Dialogical, Literal, and Historical Approach-
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21K12859
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
堀川 敏寛 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 講師 (90748427)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユダヤの聖書解釈 / 聖書解釈史 / 自己の問題 / ブーバー / フロイトの影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍により、計画していた海外での資料収集ができなかったためため新規資料の発見ができなかった。具体的にはハイデルベルク大学神学部におけるドイツ聖書学の方法論の見直し、エルサレム国立図書館とニューヨークのユダヤ歴史センターでのユダヤ教の聖書解釈史を外観する予定であった。 研究論文を参照できなかった分、今年度は国内で刊行された聖書註解書を参照することに務めた。具体的には、VTJ旧約聖書注解の刊行が本格的に始動し、3月までに5冊既刊であるため、その読解と評価を、また新改訳聖書2017公開後、今年度に刊行されたBIBLE navi 新改訳2017で論じられている聖書解釈と解説の内容を吟味した。とくに後者はアメリカの特定宗派による考えが反映された米国神学者によって執筆されたものであるため、文書の年代規程や解釈に関して、独自の色を出している印象を受けた。 学会へはオンラインで参加を試みた。ドイツのMartin Buber Gesellschaftでは、対面と併用してオンライン参加が可能となったことは好ましいことであるが、こちらの学務と日程がかさなり、参加が叶わなかった。その一方で、2023年に開催されるブーバー『我と汝』刊行100周年記念学会では、参加・研究発表が可能となりそうで、これまでの研究成果の公開を楽しみにしている。国内では、京都ユダヤ思想学会で、藤岡氏による「私」をめぐっての研究を聞くことができ、こちらからはブーバーの自己を探求する視座が、フロイトが前年に刊行した『自我とエス』に対抗する意図があったこと、『我と汝』ではDas Ichと中性名詞で語られている点から、これは人称代名詞を用いた「我たるもの」「汝たるもの、汝性」について言及するものであることを主張することができた。 他には同志社大学一神教学祭研究センター主催による、ブーバー研究者小野氏による、史的ブーバー解釈を受講した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により、計画していた海外での資料収集が全くできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ユダヤ教による聖書解釈の分類の中で、ブーバーのそれがどれかに類型されることがないにもかかわらず、聖書全体を一つの書として扱う視点や、聖書全体の中でのキーワード連関をつなげる点など、ユダヤのそれと大きく関連していることを示していきたい。
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Causes of Carryover |
理由:コロナ禍による海外渡航不可能のため。 使用計画:当初の予定通り、ハイデルベルク大学神学部・ユダヤ学研究所もしくはニューヨークのユダヤ歴史センターかエルサレムの国立図書館で資料収集を行なうための渡航費に充てたい。
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