2021 Fiscal Year Research-status Report
Towards a "Philosophy of Play" in the Kyoto School Tradition: A Comparative Analysis with Modern Western Philosophy of Play
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21K12862
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石原 悠子 立命館大学, グローバル教養学部, 准教授 (40846995)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 世界遊戯 / 自己と世界 / 行為的直観 / 弁証法 / 媒体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の九月より産休・育休を取得中のため、当研究を中断している。そのため予定していたほど研究は進んでいないが、多少なりとも本研究を始めることはできた。本研究では「自己」「他者」「世界」の三つの問題圏において、西田幾多郎・西谷啓治・上田閑照と、ニーチェ、後期ハイデガー、ガダマーとフィンクの「遊び」に関わる論述を整理することを目的とするが、一年目では「自己」の本来のあり方に関わる問題圏について、西谷とニーチェを比較検討する予定だった。だが実際には四年目に予定していた「世界」のあり方をめぐる問題圏について考察した。現象学者で日本哲学にも通じている新田義弘は、『世界と生命』(青土社、2001)において、後期西田の「世界の表現的自己限定」という考えにおいて人間が個物的に世界を表現するという事態が、フィンクにおける「世界遊動における人間の共遊動」という事態と重なることに注目し、さらにそこにおける人間の役割を世界の自己現出ないし自己表現を担う「媒体性」に見ている。本年度は、そのような新田の指摘を受け、西田とフィンクの比較考察を行い、両者の近さを遠さについて検討した。とりわけ、後期西田のいう「弁証法的一般者の自己限定」及び「行為的直観」の考えと、フィンクのいう「世界遊戯」の考えを比較し、両者がともに自己と世界を弁証法的な関係として捉えつつも、自己が「世界遊戯」ないし「世界の自己限定」に参与する仕方がそれぞれで異なっていることについて考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
九月より産休・育休のため本研究を中断しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度末まで育休により研究を中断するため、来年度もペースを落として研究を進めることになる。その上で今後は本年度の研究成果を論文のかたちにまとめて国際雑誌に投稿するとともに、研究計画で予定していた一年目の課題である西谷とニーチェの「自己」の本来のあり方について考察する。
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Causes of Carryover |
年度途中で産休育休により研究を中断したため、購入を予定していた書籍や学会への渡航費を使用しなかった。また、コロナの影響もあり発表した学会はすべてオンラインだったため。
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Research Products
(4 results)