2022 Fiscal Year Research-status Report
Music culture study of the colonial metropolis "Keijo"--Focusing on the intersection of indigenous and colonial cultures--
Project/Area Number |
21K12865
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 志善 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (30720627)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 日韓音楽関係史 / 京城放送局 / 音楽放送 / 植民地朝鮮音楽 / 植民地朝鮮の日本音楽 / トランスカルチュレーション / 植民大都市京城 / 近代音楽文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績として、3回の研究口頭発表(国内学会のみ)と、1編の学術論文、2冊の単行本(単著1冊・共著1冊)刊行を挙げることができる。 また、10年前から進めてきた『京城日報』に掲載されている「京城放送局(JODK)の番組編成表」を『京城放送局(JODK)ラジオプログラム集成(1925~1945)』として金沢文圃閣にて出版が決まった。まずは、10年分(1925-1934年)の集成と『植民地朝鮮のラジオ放送ー近代マスメディアとしての京城放送局(JODK)』別冊(論文集、共著)、『付録 朝鮮放送協会資料』別巻(資料集)を2023年度8月と、2024年2月に分けて出版する予定である。集成、別冊、別巻は、日本「外地」朝鮮における放送内容を全体的に把握できる基礎資料としてラジオメディアと関わる歴史学、社会学、文学、言語学、音楽学、人類学、教育学などの研究分野において大いに貢献できると期待される。 そして、韓国においても『京城放送局(JODK)音楽番組目録集』(民俗苑)が決まり2023年度には出版される予定で、『音楽文化の日本近現代史』(仮、青弓社、共著)も2023年11月に出版を予定している。 なお、2023年度東京大学出版助成に採択され、第4回東京大学而立賞を受賞したので『植民地朝鮮の西洋音楽ー在朝鮮日本人音楽家の活動をたどる』(青弓社)を2023年度に出版を予定している。2021年7月に韓国で出版した『植民地朝鮮の西洋音楽受容と日本人の音楽活動』(民俗苑、単著、韓国語)は、大韓民国文化観光体育部主催の2022年世宗図書学術部門選定図書に選定され、いい結果を残すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
その理由は、本年度の研究成果として、3回の研究口頭発表(国内学会のみ)と、1編の学術論文、2冊の単行本(単著1冊・共著1冊)刊行したからである。特に、2022年4月に韓国で出版した『植民地時期在朝鮮日本人の日本音楽普及・享受と展開様相』(民俗苑、韓国語)は、移住者・植民者の「日本音楽」の享受実態を明らかにし、植民地朝鮮の音楽文化の一面を照射したもので、「日本音楽」は日本人の朝鮮移住に伴い、日本の境界を超え、日本人コミュニティーを中心に受容、普及、展開されていたことについて一部を明らかにした。 また、金沢文圃閣で2023年度8月と、2024年2月に分けて出版する予定の『京城放送局(JODK)ラジオプログラム集成(1925~1945)』『植民地朝鮮のラジオ放送ー近代マスメディアとしての京城放送局(JODK)』別冊(論文集、共著)、『付録 朝鮮放送協会資料』別巻(資料集)の編集作業が全て終わり、出版物を待っているところである。このように、日本「外地」朝鮮における放送内容を全体的に把握できる基礎資料を確実に提供できるように進められており、それに伴う研究も着実に行っている。 さらに、今までの研究の評価が韓国、日本で認められることにもなった。2023年度東京大学出版助成に採択され、第4回東京大学而立賞を受賞したので『植民地朝鮮の西洋音楽ー在朝鮮日本人音楽家の活動をたどる』(青弓社)を2023年度に出版を予定している。2021年7月に韓国で出版した『植民地朝鮮の西洋音楽受容と日本人の音楽活動』(民俗苑、単著、韓国語)は大韓民国文化観光体育部主催の2022年世宗図書学術部門選定図書に選定され、いい結果を残すことができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、研究計画書に書いたとおり研究を進めたい。来年度には様々な出版が確定されており、その作業を進みながら、新たな研究にも取り込みたい。 本研究は、植民地朝鮮(1910~1945)の最大都市である「京城」を中心とした在朝鮮日本人の音楽文化に着目し、植民地朝鮮における音楽社会の実態に迫るものである。既存の研究成果により、当時の朝鮮人と在朝鮮日本人との関係はより多様で複雑であったことが浮かび上がってきた。例えば、植民地朝鮮における京城放送局ラジオ番組からみた音楽のトランスカルチュレーション(Transculturation)の様相は、日本の外地であった朝鮮の音楽環境を如実に反映している。植民地朝鮮は、単一民族、単一言語で区切られる事なく、人々や物、情報、資本などが移動し、様々な人々により、様々な音楽文化が接触させられ、その関係性が結ばれ、時にはその形を変えた文化が再構成・再構築されていた。内地における朝鮮音楽中継放送や朝鮮人の日本音楽活動からも見えるように、異文化間の交流は、統治権力によってその流動性が保証され、文化的範囲が拡大していたのである。植民地に現れる音楽のトランスカルチュレーションは、植民地朝鮮にも生じており、日本音楽文化と朝鮮音楽文化が互いに移行されていたのである。 「植民地朝鮮」という特質を充分に理解した上で、「統治権力」と「在朝鮮日本人の音楽活動」からみえてくる変容・衝突・葛藤などの全体像を描き出し、その実態から見えてくる「朝鮮の音楽文化」を今まであまり言及されてこなかった日本と韓国の「音楽関係史」「音楽文化史」として再構築できるように、研究に励みたい。今後の研究は、このような問題意識の下で、研究発表に力を注ぎ、研究成果を日本のみならず、国際会議などを通じて広げるように尽力したい。
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Causes of Carryover |
2022年度はコロナの影響が続いたため、資料調査や学会発表などの出張費用が発生しなかった。しかし、2023年度からはコロナも解除されたので、積極的に国内外において資料調査及学会発表を行いたいと思っている。
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Research Products
(6 results)