2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K12869
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
柳田 さやか 東京藝術大学, 美術学部, 助教 (80811819)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 書道史 / 書学 / 和様 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、近世中期以降の書論・近代に編まれた書道史のうち、和様・唐様について論じているものを取り上げ、「和様」の語の解釈の揺れを考察した。特筆されることは、和様の書を否定/肯定するいずれの立場にあっても、和漢に通じていた御家流の祖の尊円親王の書や、平安時代の書を評価して範とする傾向が強い点である。また、和様の解釈は多様でありながらも、日本の書を和様・唐様と一概に区別すること自体が理に合わないとする解釈や、日本の書全般を和様と捉える解釈はすでに近世・近代より存在していたことが窺えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、書道史学会の大会において研究発表をおこない、その成果の概要を研究紀要に掲載することができた。研究は全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、近世中期以降の書論・近代の書道史の刊行物によって、近世中期以降の「和様」の語の解釈の揺れを考察した。 これを受けて2023年度は、尊円親王の書の評価に着目し、現在までの評価の変遷を検討する。近世において御家流の書を否定する向きがあった一方、御家流の祖とされる尊円親王の書については評価が高かった背景を探りたい。研究成果の概要は研究紀要にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、コロナウイルス感染拡大防止のため、学会参加や調査研究旅行の回数が少なく、旅費の支出が少なかったためである。次年度は各種の学会に対面にて参加すると共に、尊円親王や御家流に関する書跡や歴史資料を実見するため、各地へ調査研究旅行をおこなう予定である。また、次年度は本研究の最終年度であるため、和様に関する文献研究として成果をまとめ、書跡の様式研究へと繋げる礎とするための資料を購入したい。
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