• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

カロリング朝期の彩飾写本に於ける音の描写

Research Project

Project/Area Number 21K12881
Research InstitutionTokyo National University of Fine Arts and Music

Principal Investigator

安藤 さやか  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員 (90807504)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2026-03-31
Keywords彩飾写本 / ヨーロッパ初期中世 / 写本画 / カロリング朝美術 / 典礼用写本 / 詩編挿絵 / イニシアル
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、カロリング朝期の彩飾写本における〈音〉の描写を分析するものである。研究対象は主に、挿絵や装飾のある福音書、詩編、黙示録、そのほか典礼用書物等の写本である。2023年度は先行研究の精査と並行し、個別作例の研究と実見調査を行った。
個別作例研究については、まず福音書写本を中心に着手した。カロリング朝初期の福音書の主たる図像は著者像としての福音書記者像であり、楽器や声といった音に関連する図像は殆ど見られない。そのため、言葉の表象としての文字装飾、特に全頁大の装飾イニシアルを中心に分析した。この成果の一部として、カロリング朝初期の彩飾福音書写本である《エッセンの福音書》(エッセン、大聖堂宝物庫、Hs. 1)についての短報と、9-10世紀のコルヴァイ修道院の彩飾写本に於ける装飾イニシアルを展望する研究を紀要論文として刊行した。
また、2022-2023年度に引き続き、カロリング朝期の秘跡書(サクラメンタリウム)写本の装飾の分析を行った。この成果の一部は、論文集所収の論文として刊行した。
また、本年度は福音書・秘跡書写本を中心に、ミュンヘン、トリーア、ゴタ(ドイツ)で原資料の実見調査を行った。文書館や大聖堂宝物庫所蔵の写本には、大規模な研究図書館とは異なり、デジタル化されていない写本も多い。従来の研究では彩飾の一部が白黒で公開されていたのみの作例について、写本学的諸情報、色彩、未刊行の挿絵部分の図像を確認することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度行った個別作例研究では、当初の研究計画の予定の派生物に重心を置いたため、「音の描写」という観点からの楽器や声の表象に関する分析は稿を改める形となった。また、夏に海外出張を行ったが、航空券・宿泊費の高騰のため、文献収集の予算を圧迫する結果となった。

Strategy for Future Research Activity

昨年度に引き続き、個別研究を中心に進める。本年度は装飾イニシアルに加え、挿絵についての分析を行う。
特に、典礼で発せられる詩編や福音書の言葉、固有文が、写本に於いてどのように書かれ/描かれたのかを分析する為に、典礼用写本の文字装飾の事例を集中的に収集し、類型化を行う。
併せて、個別作例研究を行う。対象とする作例は、以下を予定している:①詩編写本2点(アミアン市立図書館Ms. 18C;アンジェ市立図書館Ms. 18)。詩編挿絵に描かれる楽器と、対応する章句との関連についてを分析する。また、祈りの身振りの系譜を、写本挿絵以外のメディア(壁画、工芸作品等)を含めて比較する。②秘跡書写本3点(パリ国立図書館Ms. lat. 12050; 12051; Nouv. Acq. lat. 1589)。この3点は挿絵を持たず、もっぱら装飾イニシアルのみから成る。装飾イニシアルのかたちがカロリング朝初期から中期にかけてどのように発展したのかを観察し、その典礼上の機能を考察する。

Causes of Carryover

年度末の円安の進行により、購入予定だった外国語文献費を残額が下回ったため、繰り越し次年度に購入することとした。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] Das Erbe der karolingischen Buchmalerei: Initialornamentik der illuminierten Handschriften aus Corvey2023

    • Author(s)
      ANDO, Sayaka
    • Journal Title

      東京芸術大学西洋美術史研究室紀要 (Aspects of Problems in Western Art History)

      Volume: 21 Pages: 7-22

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 《エッセンの福音書》Essener Evangeliar, Essen, Domschatz, Hs. 12023

    • Author(s)
      安藤さやか
    • Journal Title

      東京芸術大学西洋美術史研究室紀要 (Aspects of Problems in Western Art History)

      Volume: 21 Pages: 93-96

    • Open Access

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi