2022 Fiscal Year Research-status Report
伝統意匠の社会的受容と職人の技能継承に関する研究-京仏壇・京仏具を対象として―
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21K12888
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
成田 智恵子 京都産業大学, 文化学部, 助教 (10791501)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 伝統工芸 / 職人 / 技能継承 / ものづくり / 京仏壇・京仏具 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は京仏壇・京仏具の意匠を対象として、「伝統意匠の社会的受容」と「職人の技能の継承」の実態および意義について明らかにすることを目的とする。具体的には、現在も分業制を保ちながら、手仕事によって受け継がれている京仏壇・京仏具の職人に着眼し、職人がどのような考えをもって制作にあたり、そして、どのような伝え方をもって伝統意匠と技能の継承に努めているのかを①京仏壇・京仏具の現物調査と職人に対するインタビュー調査、②京仏壇・京仏具に施 されている意匠の分析と分類、③時代背景との関係性の考察の3つから明らかにする。 令和4年度前半は①②を遂行するために、京仏具商および木地、箔押、蝋色工程の職人を対象としたインタビュー調査と当該工程の現物調査を行なった。京仏具商からは京仏壇・京仏具の変遷を示す資料の提供と当該資料の説明を受けた。また、前年に引き続き現物の京仏壇・京仏具の写真資料等の収集を進めた。木地職人および蝋色職人からは主に近年の家庭用仏壇の仕事の受注について、箔押職人からは主に京都と京都以外の産地における箔押の差異について、それぞれ聞き取りを行なった。これらの結果は次年度に予定している③の資料としても活用する。なお、令和4年度は日本応用心理学会第88回大会にて、これまでの研究成果を発表した。 最終年度にあたる令和5年度はこれまでに取得したデータをもとに③の考察を進めていく。また、研究の信頼性・妥当性向上のために、引き続きインタビュー調査も実施する。得られた結果は学会等で広く公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビュー調査および現物調査のどちらもおおむね順調に進展している。令和4年度に予定していた学会発表も問題なく実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、これまでに取得したデータをもとに、仏壇・仏具に対する社会的受容の変遷を顕在化させ、現代生活につながる伝統意匠と工芸の変遷の過程を明らかにする。また、伝統意匠や工芸の今後の継承を考えるための新たな知見や指標を得る。なお、インタビュー調査を継続し、研究の信頼性・妥当性の向上を図る。
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Causes of Carryover |
学会発表の開催地が所属大学の近くであったため、当初予定していた旅費との間に差額が生じた。次年度に繰り越し、成果発表や研究に必要な物品費等として使用する予定である。
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