2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者施設における即興表現的ダンス活動の効果ー心理的フレイルへの影響を中心に
Project/Area Number |
21K12898
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岡 千春 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (80761593)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダンス / 心理フレイル / 高齢女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者を対象としたダンス活動について、その運動効果は既に明らかになっているが、本研究では特に即興的な表現活動としてのダンスが、後期高齢者の心理的フレイル予防にどのように影響するかを明らかにすることを目的としている。研究計画当初、要介護の高齢者を対象として、高齢者施設における実験調査を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により施設への介入調査を見合わせる状態が続いている。2021年度においては、高齢者の身体活動、即興活動、ダンスセラピーに関する文献から、高齢者が即興創作の要素を取り入れたダンス活動に参加することによってどのような影響がみられるのかを考察した。施設での介入調査の目途が立たなかったことから、ダンスクラスに定期的に参加している高齢女性を対象としてインタビュー、質問紙調査を実施した。既に数年にわたり継続している対象者であり、要介護の状態ではないため、ダンス活動がもたらす心身への影響、フレイル予防としてのエビデンスを得るには至らなかったが、ダンスの継続動機や今後への参加意欲に関する回答内容から、今回の調査対象者はダンスの運動効果よりも心理的効果を特に感じていることが示された。ここから、今後高齢者に求められるダンスプログラムを考案するにあたって重要な知見を得ることができた。この研究結果について、学会大会での発表を申請中である。次年度においては、対面のダンスレッスンのみならずオンラインの活動も含め、調査領域を広げる必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、調査依頼を内諾頂いた高齢者施設での調査が延期となり、実施の見込みが立たず、インタビュー等の予備調査のみにとどまっているため。本研究は介護予防としてのダンスという側面も含んでいるが、認知症に関連したBPSDの軽減といった心理症状の改善も視野に入れており、施設入所者を対象とした調査を実現する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も施設再開の見込みが立たない場合、オンラインによるダンスクラスの開催を検討する。高齢者施設の協力を得られれば、オンラインクラスを施設において配信していただき、介護者の視点から参加者の様子の評価を求めたいと考える。実現しない場合は、新たに調査協力者を募り、介入前と介入後にオンラインインタビュー、質問紙調査を実施することを計画する。
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Causes of Carryover |
計画当初、2021年度は学会への対面参加を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により、学会への対面参加が実現しなかった。また、施設調査延期中により、謝金の支払いが見込みよりも発生せず、書籍購入費が予定より増額した。次年度においては調査対象者へのインタビューが増える可能性があり、拘束時間が増え、謝金総額が予定よりも高額になると予測する。
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