2021 Fiscal Year Research-status Report
A Sociological Study of the Relationship between Place and Art Networks: Case Studies of Shinobazu Pond and West Lake
Project/Area Number |
21K12903
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
PAN Mengfei 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 助手 (40871231)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アート・ネットワーク / 場所 / 移動 / 水辺空間 / 海浜地 / 近代日本 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会学の視座を通じ、「場所」がいかに、「アート・ネットワーク」(芸術生産過程に参与する様々なひと、もの、グループ、組織と制度の間の関係性)形成に寄与しているかを明らかにする。研究開始時は「不忍池」と「西湖」(中国・杭州)を事例として設定していたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、当初計画していた中国とヨーロッパでの資料調査・フィールドワークが困難となり、断念せざるをえなかった。対象と研究手法を調整し、オンラインでの研究会と学会発表も積極的に行った。 2021年度の研究調査内容と手法の調整に関しては、コロナ禍のなか実施可能な範囲で、対象を再設定し、資料収集を進めた。上野の北東に位置する根岸エリア、大磯・小田原地域と京都を視野に入れ、本研究当初の対象であった不忍池周辺との関連を探求した。今までの調査において、上記の地域は、不忍池周辺で形成されていたアート・ネットワークに参与していた人物の転居先、もしくは一時的な滞在地であったことが判明した。これらの地域を精査することにより、移動の背後にある個人的および社会的な要因、両者間の関係と、各地の特徴を明確にすることができると考えた。国際的な比較は文献調査にとどまったが、パリやニューヨークがいかにアートのメッカとなったかに関する言説分析を進めることができた。また、関係者の多大な協力のもと、本研究にとって極めて重要な歴史資料のデジタル化もできた。 途中の研究成果について、国内(カルチュラルスタディーズ学会2021)と国際学会(The Making of the Humanities IX Conference)において研究発表を一件ずつ行った。また、大分、沖縄、京都の研究者をお招きし、地域と「アート・ネットワーク」に関するオンライン研究会を実施し、それぞれの地域の特性に関する議論ができ、新知見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」と評価した主な理由は、杭州西湖での資料調査・フィールドワークと、それによって日中間の比較、東アジアに関する考察ができなかったからである。研究対象の調整を余儀なくされたが、収集できた資料の分析はおおむね順調に進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の長期化に伴い、海外出張はまだ難しいため、資料・文献分析と日本国内での調査を中心に、理論と実証研究を進める。鍵となる社会学概念をさらに掘り下げ、収集できた資料の解読・分析と資料の拡充を継続し、学術論文の執筆、論文誌への投稿と書籍化を準備する。歴史中心の研究成果の公開を図る一方、本研究が今日においていかなる意味をもつか、社会実装・実践の可能性も探る。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、実際に現地に赴き、学会参加と資料調査・フィールドワークを実施する出張回数の減少によるものである。2022年度は引き続き新型コロナ状況を考慮しつつ出張を計画する。また文献調査、オンライン学会の参加等で、出張できなかった分を補う。
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