2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Sociological Study of the Relationship between Place and Art Networks: Case Studies of Shinobazu Pond and West Lake
Project/Area Number |
21K12903
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
PAN Mengfei 國學院大學, 観光まちづくり学部, 助教 (40871231)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会学 / 上野 / 大磯 / 水辺 / マップ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度2023年度は、これまで調査してきた、「1931年帝室博物館建築設計コンペ」と「明治期の大磯マップ」に関する資料をまとめ、国際学会でその研究成果を発表した。新型コロナの諸影響で、最初のニ年間(2021-2022年度)は研究対象と計画を変更せざる得なくなったが、三年目は引き続き上野と不忍池関連の言説分析を進め、比較事例を神奈川県大磯に絞り、事例研究を通し「場所」の持つ意味を解明した。一つの事例は、現在も「上野の山」の中心となる「博物館」と、その1930年代頃「復興博物館」本館建築設計コンペ時、上野に関する構想である。とりわけ、近代建築史でよく知られている前川國男案周辺の言説を再収集・考察し、そのアンビルド(実現されていない設計)に込められた批評・批判を解析し、International Committee of Architectural Critics(国際建築批評家委員会)主催の学会で発表した。これについての論文は2024年度、当委員会の書籍Architecture as Built Criticismに収録される予定である。もう一つは、不忍池と性質の異なる水辺のまち「大磯」に関するもので、そこに居住する政治家・実業家をマッピングする明治期のマップを社会学と批判地図学からアプローチし、マップ制作と場所の関連性を浮き彫りにした。これについては、ルーマニアでの日本研究国際学会で発表し、2024年度内、査読論文として掲載される予定である。 この三年間の研究期間を通して、もの(マップ制作や建築設計)、ソーシャル・ネットワークと、「場所」生成、この三者間の関係が大きな研究課題として取り組んできた。研究計画時に、構想していた対象から変更があったが、批判地図学、地理学の理論と社会学のそれと架橋し、明治期の東京根岸マップ、大磯のマップと帝室博物館建築設計などに関する事例研究を深掘りすることができ、おおむね順調に遂行することができた。
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