2021 Fiscal Year Research-status Report
歴史と教訓・教育の親和性を考慮した軍記物語四作品の流布の過程の相違の研究
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21K12919
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
滝澤 みか 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 講師 (20778683)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軍記物語 / 保元物語 / 平治物語 / 平家物語 / 承久記 / 古注釈書 / 流布 / 西道智 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歴史上起きたいくさを題材とする軍記物語の代表的な四作品(『保元物語』『平治物語』『平家物語』『承久記』)の流布の過程の違いを、教訓・教育との関わり方を軸に検証していくことを目指している。 各作品の流布の過程を検証するにあたり、古注釈書の存在もまた看過出来ないものと考えられる。そこで先行研究を調べていくと、上記の軍記物語の作品の研究において、注釈書を対象とした研究は充分に検討されているとは必ずしも言い難い状況にあることが分かった。そこで本年度は、まず基礎的な研究として資料の読み込みや翻刻作業に従事した。社会情勢により調査に行くことが難しい場合は画像公開や紙焼写真なども利用しつつ、諸本調査を進めている。現在は注釈書の中でも、特に『保元物語』『平治物語』『平家物語』『太平記』という軍記物語の代表的とも言える複数の作品に対して注釈書を作成している西道智という、近世初期に活動していたと考えられる国学者の存在に着目するに至った。そこでまず道智の作成した注釈書の中で、『保元物語大全』『平治物語大全』の翻刻に着手しており、次年度より翻刻を雑誌に連載していく予定である。また、注釈書を検討していくにあたり、『太平記』の注釈書は検討が必要となることが確認出来ているため、それらの調査も行っていくことを目指す。特に西道智著『太平記大全』の検討の準備も現在進めており、翻刻や資料の読み込みなどを行いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会情勢により、資料調査を進めることが難しかった期間が生じたが、資料の読み込みや翻刻作業などは進めており、掲載の目途も立っていることから順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
諸本調査などを行いつつ、翻刻作業を引き続き進めていく。
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Causes of Carryover |
社会情勢により調査に行くことが難しい期間があったことや、所属機関の移動などが生じることになったため、計画の再考をする必要があったため。
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