2021 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ系アメリカ文学における階級・ジェンダーの表象
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21K12960
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
柳楽 有里 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (40835253)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アフリカ系アメリカ文学 / ハーレム・ルネッサンス / 労働者階級 / 上流階級 / 人種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アフリカ系アメリカ人による小説を対象として、黒人コミュニティ内部の階級的・ジェンダー的差別に注目する。20世紀のアメリカ黒人文学における階級・ジェンダーの表象の在り方が、どのように変遷したのかを明らかにすることが目的である。研究の対象とする作品が書かれた時期は、大きく二つに分かれる。黒人文学が大きく発展したハーレム・ルネッサンス期、および公民権運動以降から近年までの二つの時期である。これらの作品における黒人コミュニティのジェンダーおよび階級どのように表象されているのかを分析対象としている。今年度は、新型コロナウィルスの影響により海外渡航が不可能であったため、主に国内で入手可能な資料をもとに考察を進めることとなった。計画していた通り、ハーレム・ルネッサンス期の黒人中流層の主人公の結婚を中心としたa)とb)を分析した。さらに、対象とする時代を広げ、黒人作家による初期の小説の一つであるフレデリック・ダグラスの小説c)を加えることとした。 a) ネラ・ラーセン:Passing (1929) 。a) については現在論文を投稿中である。 b) ドロシー・ウェスト:The Wedding (1954) b) については日本アメリカ文学会関西支部の若手シンポジウムにおいて「ドロシー・ウェストのThe Weddingにおける壁を乗り越える愛」というタイトルで口頭発表を行った。この論考は次年度に論文として発表する予定である。 c) フレデリック・ダグラス: The Heroic Slave(1853) c)については「The Heroic Image in Frederick Douglass's Slave」(『関西アメリカ文学』No. 58)と題して論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外渡航ができなかったが、三つの作品について考察を進め、そのうち二つについては論考を発表することができ(論文が一本、口頭発表が一回)概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、研究実施計画に基づき、公民権運動以後の黒人中流層の登場人物を描く作品を中心に調査・分析を進める。また、海外渡航が可能となった際、現地調査を再開する予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた海外渡航を次年度に行うため。
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