2022 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ系アメリカ文学における階級・ジェンダーの表象
Project/Area Number |
21K12960
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
柳楽 有里 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (40835253)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アフリカ系アメリカ文学 / ハーレム・ルネッサンス / 労働者階級 / 上流階級 / 人種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アフリカ系アメリカ人による小説を対象として、黒人コミュニティ内部の階級的・ジェンダー的差別に注目する。20世紀のアメリカ黒人文学における 階級・ジェンダーの表象の在り方が、どのように変遷したのかを明らかにすることが目的である。研究の対象とする作品が書かれた時期は、大きく二つに分かれる。黒人文学が大きく発展したハーレム・ルネッサンス期、および公民権運動以降から近年までの二つの時期である。これらの作品における黒人コミュニティのジェンダーおよび階級どのように表象されているのかを分析対象としている。今年度、海外渡航が可能となりアメリカでの調査を行うことができた。しかしながら、Beinecke Rare Book and Manuscript LibraryとSchomburg Center for Research in Black Cultureは予約が殺到していたため入館できず、Harvard University Libraryでの調査のみとなった。今年度は、研究対象としていたa)とb)についての論文を発表した。a)についてはRace and Class in Nella Larsen's Passing: A Window to the Other Sideというタイトルで黒人研究92号(2023年3月)に、b)についてはReaching Out a Hand in Dorothy West’s The Weddingというタイトルで兵庫県立大学環境人間学部研究報告25号(2023年3月)に掲載された。現在は、c)とd)を分析している。 a) ネラ・ラーセン:Passing (1929) 、b) トロシー・ウェスト:The Wedding (1995) 、c) ジェームズ・ボールドウィン: Giovanni’s Room (1956) 、d) トニ・モリスン: Love (2003)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一年目に予定していた海外渡航が二年目に実現したものの、予定していた調査が人数制限などによりはかどらず、予定を若干変更せざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査で集めた資料と、国内で入手できる文献をもとに、ボールドウィンとモリスンの作品研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で海外渡航が遅れたことにより次年度使用額が生じた。現地調査を次年度行えるかどうかは状況を鑑みて判断していく。
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