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2022 Fiscal Year Research-status Report

Study of free verse in late 19th-Century France: Henri de Regnier, Viele-Griffin, Paul Valery

Research Project

Project/Area Number 21K12962
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

鳥山 定嗣  名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80783117)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords自由詩 / フランス詩 / アンリ・ド・レニエ / ヴァレリー / 韻律 / 翻訳 / 異文
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、19世紀末のフランスで誕生した「自由詩」に注目し、これを単に型破りの詩ではなく、定型性と非定型性の混淆するハイブリッドな形式と捉え直した上で、現代詩の代表的形式となった自由詩の本質と多様性を、歴史的文脈や同時代の文化的社会的背景との関連を踏まえて明らかにする試みである。
令和4年度は、研究実施計画に記したように、研究の軸をヴァレリーからアンリ・ド・レニエに移しつつ、両者に関する研究論文を発表した。研究成果は以下のとおりである。
1)フランス語論文(Henri de Regnier entre vers libre et metrique traditionnelle)では、レニエの全詩集(計12冊)を対象として、各詩集における自由詩と定型韻文詩の割合を調べ、韻律や詩型などの特徴を分析したうえで、レニエの詩風の変遷を三期に分けて論じた。すなわち、定型12音節詩句とソネの多用を特徴とする初期(1889年まで)、自由詩が盛んに試みられ、「象徴派的」と称される中期(1890-1902)、象徴派から離れて再び古典主義的な詩風に回帰する後期(1903年以降)である。自由詩の試みは中期に集中するが、初期と後期にも若干ながらその萌芽と名残が認められる。
2)ヴァレリーの韻文劇「ナルシスのカンタータ」の試訳を通して、多様な韻律からなる詩をどう翻訳するかという問題を考察した。1幕7場(全502行)からなるこの韻文劇は12音節を多用しつつ、1音節から12音節までのほぼすべての音節数を含む混淆詩(vers mele)であり、定型韻文詩と自由詩(vers libre)の中間に位置づけられる。
3)前年度、日本フランス語フランス文学会中部支部大会で発表した内容を「ヴァレリーとヴァリアント――テクストの複数性、解釈の多様性、自己の可変性」と題する論文にまとめた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は研究の軸をヴァレリーからレニエに移しつつ、研究実績の概要にも記したとおり、レニエに関するフランス語論文1点、ヴァレリーに関する日本語論文2点を公表した。また、レニエの自由詩を研究するうえで特に重要な詩集『いにしえのロマネスクな詩』(Poemes anciens et romanesques)と『さながら夢のなか』(Tel qu'en songe)に関する研究もおおむね順調に進んでおり、研究全体の進捗に問題はないと考えている。

Strategy for Future Research Activity

今後はヴァレリー研究、レニエ研究を継続しつつ、本研究で注目するもう一人の詩人フランシス・ヴィエレ=グリファン研究にも着手したいと考えている。
具体的には、9月に台北での国際シンポジウム(Genesis Taipei 23: The Draft and Its Environs)に参加し、ヴァレリーのエクリチュールと草稿に関する発表をする予定である。
レニエに関しては、中期の代表的詩集『いにしえのロマネスクな詩』(Poemes anciens et romanesques)と『さながら夢のなか』(Tel qu'en songe)の読解を深めると同時に、「オドレット」と呼ばれる短詩形式に焦点をあて、レニエの定型韻文詩と自由詩の関係について考察する。
またヴィエレ=グリファンとレニエ両者の自由詩を比較する一方で、アメリカの自由詩の創始者と称されるウォルト・ホイットマンの詩の翻訳・受容(アンドレ・ジッド、ラフォルグ、ヴィエレ=グリファンなどが翻訳紹介した)という観点から、19世紀末フランスの自由詩を多角的に考察する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] ヴァレリーとヴァリアント――テクストの複数性、解釈の多様性、自己の可変性2023

    • Author(s)
      鳥山 定嗣
    • Journal Title

      研究論集(日本フランス語フランス文学会中部支部)

      Volume: 46 Pages: 13~23

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Henri de Regnier entre vers libre et metrique traditionnelle2022

    • Author(s)
      Teiji TORIYAMA
    • Journal Title

      Tel qu'en songe, Cahiers Henri de Regnier

      Volume: 7 Pages: 99~128

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] ヴァレリー「ナルシスのカンタータ」試訳 : フランス韻文詩をどう翻訳するか2022

    • Author(s)
      鳥山 定嗣
    • Journal Title

      Stella

      Volume: 41 Pages: 113~140

    • DOI

      10.15017/6632410

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2023-12-25  

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