2023 Fiscal Year Research-status Report
現代中国語における〈禁止・制止〉表現の形成メカニズム
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21K12982
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中田 聡美 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (80783183)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 現代中国語 / 〈禁止・制止〉表現 / モダリティ / 主観性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、まず“不帯X的”について、引き続きモダリティ及び主観性・間主観性の観点から研究を行った。2022年度の段階では、論文の完成度は8割ほどであったが、継続して論文の修正作業を行い、最終的に中国語母語話者による原稿チェックも受け、修正作業を完了した。論文は学術雑誌に投稿中である。 次に“不VP”と“我別VP”について研究を行った。通常、動作行為を表すVPからなる“不VP”は、“我不VP”(私はVPしない)のように、否定的意志を表し、“別VP”は“ni(二人称単数)別VP”(VPするな)のように、否定的命令を表す。しかし、“不VP”は聞き手に対して、何かをしないように働きかける場面において使用されることがある。また“我別VP”は話し手が何かをしないことを表明する場面において使用されることがある。このような現象に着目し、“不VP”と“我別VP”について視点の観点から考察を行い、視点の違いがどのように言語形式に反映されるのか、またそれがコミュニケーション上、どのような効果をもたらすのかを探った。その研究成果は、単著の論文として2025年3月までに出版予定の論文集に掲載される予定である。 また以前より、〈禁止・制止〉としての“不敢VP”の用例を収集しているが、それに加えて、2023年度は“不興VP”にも注目し、用例を収集している。両形式ともに方言色が強く、用例収集が容易でないことから、まだ十分な数の用例を集められていない。 これまでは、従来の現代中国語文法研究では、注目されることの少なかった周辺的な、方言色のある〈禁止・制止〉形式をいくつか取り上げ、個別に論じる段階にとどまっているが、これらの研究が今後の研究の基礎となるため、やはり必要な過程であると考える。これらの研究を通じて、今後モダリティの観点から、ある形式が〈禁止・制止〉の意味を生み出すメカニズムを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
“不敢VP”については、小説、コーパスなどから用例を収集する方向へ切り替えたが、方言色が強く、用例収集が容易でないことから、まだ十分な数の用例を集められておらず、現段階では“不敢VP”について十分な考察を行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、まず“不VP”と“我別VP”に関する論文を完成させ、2025年3月までに出版予定の論文集に原稿を提出する。“不敢VP”と“不興VP”については、継続して小説、コーパスなどから例文を収集すると同時に、分析、考察を深め、2024年度中に学会等で研究発表を行うことを目指す。最終年度は、形式が本来持つ意味から、〈禁止・制止〉の意味へ拡張する過程は、現代中国語のモダリティ体系において、どのように位置づけられるのか、研究を行いたいと考えており、このテーマにも取りかかる予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度は、学会等が基本対面で実施されるようになったため、旅費を一部使用したものの、2022年度中に渡航することが難しく、本来予定していた中国での言語調査を、その後、小説、コーパスなどから用例を収集する方向へ切り替えたことから、旅費が当初の計画より大幅に抑えられている。2024年度は、国際学会にて研究成果を発表したいと考えており、旅費、謝金の支出が増えることが見込まれる。その他に、書籍購入などに使用する予定である。
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