2023 Fiscal Year Research-status Report
Empirical studies of discourse effects of natural languages
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21K12985
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平山 仁美 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 講師 (40848602)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 談話効果 / 助詞 / 否定疑問文 / 数詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は最終年度に向けて各種学会での発表を考えていたが、予定通りに理論的分析を完了させ学会への投稿をすることが出来ない学会もあった。しかしながら、談話効果という語用論的現象と、意味論統語論のはざまにある現象についての考察や分析を多少なりとも進めることができた。 まず、寄生空所の位置に発生する空代名詞の解釈について、かつて行った意味論的アプローチでは解決できなかった問題について、国際共著論文においてひとまずの解決を行うことができた。空代名詞の解釈については、プロセシングの問題からMinimalist Grammarという枠組みを用いた統語論のアプローチでも盛んに議論されている点である。談話の影響を受ける空代名詞の解釈と、こうした統語環境との相互作用がどう行われているか、今後も研究を続けていく予定である。 また、否定疑問文についての分析についてもデータの精査と分析を進めることができた。日本語では助詞や語順を変えることで疑問文の容認度が変わることがある。一方、特に程度を含む否定疑問文が認可されるかどうかについては言語学の各分野で今まで様々な議論がなされてきた。日本語でも本来容認されない否定疑問文が特定の状況で容認されることが現在までにも報告されているが、談話効果という点からこの現象を説明できるような分析を行っている。さらに、この否定疑問文の現象については数詞の統語・意味も大きく関わっている。この事象についても、先行研究で行われている分析や議論と、談話効果を組み合わせることによって英語や他の諸言語との日本語の差異について説明することを目指し分析を進めることが出来た。 最後に、11月にはオランダのアムステルダム大学において手話の談話効果の実験研究をしている研究者とも情報共有ができた。この会合では、日本手話と他の手話との対照研究の可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
勤務校の公務があり、研究に十分な時間を割くことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験研究やコーパスでのデータ調査などが予定通り進められていないため、データ収集も進めつつ、すでに経験的データが確保できているものについては形式的な分析を進めたうえで雑誌論文への投稿を目指していく。
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Causes of Carryover |
1年目・2年目においては新型コロナウイルスの影響でオンラインとなった学会が多く、予定していた学会への現地参加が不可能であったため旅費が予定通り使用できなかった。その余剰金が3年目にもあったことに加え、公務で参加を予定していた学会への参加が出来なかったため。 残額は論文の英文校正や実験の謝礼、2024年度に開かれる学会への参加費用等に使用する予定である。
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