2023 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of semantic universals in the inferential domain
Project/Area Number |
21K12991
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
平山 裕人 関西外国語大学, 英語国際学部, 助教 (10878292)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 形式意味論 / 証拠性表現 / 認識法助動詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は認識法助動詞と証拠性表現の2つのカテゴリーを(1)時間的制約と(2)推量の形式の二つの観点から横断的に分析し、その意味の現れ方に一定の法則性を見出すことを目的としている。本年度は特に(2)の推量の形式に関して、「証拠性表現を用いた推量においては、認識法助動詞を用いるときとは異なり、仮定的な情報に基づくことはできない」という、去年度得られた一般化を、2023年3月開催のJapanese Korean Linguisticsにおける口頭発表の論文化を通して発表することができた。また、副次的成果として、同論文内で、前提 (presupposition) を含む語彙項目を埋め込んだときの振る舞いが認識法助動詞と証拠性表現とで異なること、および、英語の認識法助動詞mustと日本語の認識法助動詞「にちがいない」では前提の投射に関する特性が異なる可能性も示唆した。 また、日本語の認識副詞「まさか」との共起可能性が、認識法助動詞と証拠性表現とで異なることもわかった。具体的には、認識法助動詞は、それが否定を伴うときに「まさか」と共起可能であるが、証拠性表現は共起不可能である。この研究成果の一部はSinn und Bedeutung 28にて発表している。 以上より、本研究機関を通して主に以下の成果が得られたと言える。(1)時間的制約に関して、研究開始以前は証拠性表現の被埋め込み命題が進行相を伴う際の振る舞いを予測できなかったが、Earliest演算子をイベント項に向けて相対化することでこの問題を解決した。(2)の推量の形式に関して、個人的嗜好述語との相互関係の研究を通して、「証拠性表現と認識法助動詞ではその推量が基づく情報の質が異なる」という一般化を得ることができた。
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