2023 Fiscal Year Annual Research Report
A formal approach to the semantics and syntax of speech acts in natural language
Project/Area Number |
21K13000
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
井原 駿 津田塾大学, 学芸学部, 講師 (90898032)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 言語学 / 意味論 / 語用論 / 発話行為 / 形式意味論 / モダリティ / 命令文 / 感嘆文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き研究対象となる発話行為のうちの一つである感嘆文の研究に焦点をあて、言語事実の観察・記述と、意味論的・語用論的分析を推し進めた。 本年度は昨年度から研究している日本語の「ノダロウ」感嘆文について、さらに二つのタイプが存在していることを指摘した。具体的には、当該の感嘆文の文頭に生起するwh表現が「どれだけ」であるか「なんて」であるかによって意味導出のプロセスが異なることを指摘した。前者の「どれだけ」タイプはいわゆる個人嗜好述語と呼ばれる述語の主語が話し手以外であっても良いのに対して、後者の「なんて」タイプにおける個人嗜好述語の主語は話し手に制限されるという新たな事実をもとに、両感嘆文の意味を形式化し、振る舞いを捉えることに成功した。この成果は、自然言語における感嘆文の意味類型に「ジャッジ(判定者)が意味的に指定されているか否か」という新たな視座を提供した点で、当該の研究領域に貢献する。なお、本研究成果は、日本言語学会第167回大会やThe 14th Generative Linguistics in the Old World in Asia (GLOW in Asia XIV) などで成果報告を行ない、国際会議プロシーディングス誌から出版・掲載される予定である。 最終年度までの研究は、発話行為(特に命令文・感嘆文)における意味類型への貢献だけでなく、従来ブラックボックスであった「発話行為がそれぞれどのようなメカニズムのもとで意味が導出されるのか」という根源的な問いに対して、それぞれの文を構築する言語的要素の意味や組み合わせの観点から分析を与えた点で、当該の研究分野を次の段階に推し進めたと言える。
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