2021 Fiscal Year Research-status Report
Projection-free Merge and Movement Phenomena: Problems and Solutions
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21K13024
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 秀治 三重大学, 教養教育院, 特任講師(教育担当) (90779381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生成文法 / 統語論 / 併合 / 投射 / 移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、投射なしの併合操作を前提とする極小主義理論を発展させるために、二つの問題に取り組んだ。一つ目は「XP移動の問題」で「句レベルの移動を投射という概念なしで正しく制限するためにどうすれば良いか」という問題である。二つ目は「X0移動の問題」で「主要部移動を投射という概念なしで正しく制限するためにどうすれば良いか」という問題である。これらの問題は先行研究では議論されてきていないが、本研究では「併合操作の入力探索は部分的に制限される」という考え方を主張した。特に「併合操作の片方の入力要素内で素性照合が起きている場合、もう片方の入力要素もその素性を含む必要がある」という主旨の「照合探索条件」を提案し、その提案の下では「XP移動の問題」も「X0移動の問題」も統一的に解決されることを主張した。 この提案に基づき「XP移動の問題」に取り組んだ研究成果の一部は、国内ワークショップである Encouraging Workshop on Formal Linguistics 5 (2021年8月25~27日開催)で口頭発表した。また、その発展版である論文を国際ジャーナルに投稿し、現在は査読中である。さらに「XP移動」に関連する研究として「英語の遊離数量詞の分布」を再考した論考は、国際学会である West Coast Conference on Formal Linguistics 40(2022年5月13~15日開催予定)に応募し、口頭発表として採択されている。なお、「X0移動の問題」に取り組んだ研究成果の一部は、また別の国際学会に応募し、現在は査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
区分の理由は、「投射という概念なしでどうやって移動現象を正確に捉えるのか」という本研究の最大の問いに対して、現在までに部分的な提案を行ったと評価できるからである。特に、本研究では「XP移動の問題」と「X0移動の問題」に加えて、中間投射X'に関する「X'移動の問題」を論じる計画にしているが、その三つの問題のうち二つに対して、経験的にも概念的にも妥当な解決案を提案できているという点で、進捗状況はおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に行った「X0移動の問題」の研究を発展させ、その研究成果を国際ジャーナルに投稿するための作業を行う。さらに、三つ目の問題として「中間投射の移動を投射という概念なしで正しく制限するためにどうすれば良いか」という「X'移動の問題」に取り組み、その研究成果を学会・ジャーナルで公表するための作業を行う。
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