2023 Fiscal Year Research-status Report
学習者の母語の事態把握が日本語のアスペクト習得に与える影響-多言語比較による検討
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21K13036
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
西坂 祥平 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (80870302)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テンス・アスペクト / 第二言語習得 / 事態の捉え方 / 多言語比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二言語としての日本語のアスペクト習得、特に「結果の状態」を表す「ている」の習得に焦点を当て、学習者の母語による事態把握が与える影響の解明することである。先行研究においては、「結果の状態」を表す「ている」の習得難易度の高さを主張するものがあるが、同時に、学習者の母語との対応関係により、その難易度が変わるとされる。本研究は、この難易度差を事態把握の観点から考察し、どの部分が母語の影響によるもので、どの部分が普遍的な現象によるものかを明らかにすることを目指している。 期間延長した令和5年度であったが、実施予定であった本調査が行えなかった。そのため、前年度に実施した詳細なレビューの成果と既存のデータを生かして、「ている」習得に関して、より言語学的な角度から理論的分析を進めた。これは、当初予定していなかった分析の観点ではあるものの、特に「「結果の状態」の「ている」は、なぜ上級レベルになっても習得困難であるのか」を説明するのに資するものであり、本研究プロジェクトの趣旨に沿う成果と言える。 上記のように新たな観点から考察を進められた点は成果と言えるが、しかし一方で、調査実施が叶わなかったことによるマイナスも大きいと言わざるを得ない。本研究プロジェクトの特徴は、同一タスクを用いた調査を用いて、母語が異なる日本語学習者に調査を実施し、母語の影響を検証することである。そのことを考えても、今後の展開として調査実施を最優先事項として実現させる必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
勤務先でスタッフの交代や異動が続いたことで、研究代表者の業務負担が非常に大きくなり、予定通りに研究計画を進めることが叶わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、特に上級レベルの学習者を対象とした国内調査を実施する。そして、出版済みの研究結果との比較を行い、年度内の論文投稿を目指したい。
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Causes of Carryover |
予定していた調査実施が叶わず、旅費等が生じなかったためである。2024年度に実施する国内調査に使用する。
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