2021 Fiscal Year Research-status Report
中国語・日本語「学習者・母語対訳」作文コーパスの構築と母語転移に基づく文法研究
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21K13069
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
福田 翔 富山大学, 学術研究部教養教育学系, 准教授 (20723274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中国語・日本語学習者コーパス研究 / 中国語・日本語の対照言語研究 / 学習者の母語転移に関する第二言語習得研究 / 中国語教育 / 日本語教育 / 誤用分析 / 中間言語分析 / 中国語・日本語の文法研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
「中国語・日本語『学習者・母語対訳』(初級・中級)作文コーパス」の構築にむけて、誤用タグ付けのための文法項目の整備とデータ収集のための予備調査(調査項目の設定、タグ付け作業の確認、調査対象者の選定等)を行った。その上で、日本国内及び中国国内の教育機関にて、日本語を母語とする中国語学習者147名と中国語を母語とする日本語学習者233名の学習者作文データの収集が完了し、オンライン調査票を用いたフェイスシートの収集及び一部データでは外部の言語テストを用いた習熟度調査を行うことができた。また、作文の添削、学習者へのフィードバックについても滞りなく実施することができ、アンケート調査を用いて、言語学習に対する作文執筆及びフィードバック等の効果についても検証することができた。さらに、日本語と中国語において、文法項目一覧表を独自に作成し、今後、統一的に誤用タグを付与することができるようになった。収集した作文データについては、産出された語彙頻度、誤用の目立つ文法項目の頻度等を計量的に処理することで、学習者の習得状況及び傾向を観察し、さらに、中国の大学に所属する中国人研究者と定期的にオンラインで打ち合わせを行い、誤用分析及び中間言語分析等の観点から、中国語と日本語のアスペクト、可能表現、主観性を表す表現、中国語の連動文等の研究に着手することができた。また、2021年度は本研究の開始年度となるため、研究ならびに調査結果の分析の際に必要な参考図書や備品等のうち、主要なものを揃えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国の大学との連携をすすめ、作文データを順調に収集することができた。当初の予定では、2021年度は日本語と中国語の作文各100名分のデータを収集する予定であったが、それを超える数のデータが収集できた。さらに、作文の添削、学習者へのフィードバックについても、予定通り滞りなく実施できた。また、研究協力者とも、定期的に打ち合わせを行い、データの収集や分析について、予定通りすすめることができた。研究、調査結果の分析に必要な参考図書や備品等についても、主要なものを揃えることができた。このように、当初計画していた項目について、順調に進展しているため、「おおむね順調」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に収集した作文データについて、独自に作成した中国語及び日本語の文法項目一覧表をもとに、誤用箇所に対して、統一的なタグ付け作業を実施する。また、2022年度も日本及び中国にて、引き続き学習者の作文データの収集を継続する予定である。データの分析については、学習者の母語転移という観点から、さらに考察をすすめる。
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Causes of Carryover |
感染症の蔓延により、当初予定していた国内および国外での学会発表、シンポジウム等がオンラインでの開催となったため、主に旅費分が未使用となり、次年度使用となった。 使用計画として、当初の予定より、収集データ数を増やすことで、被験者に対する謝礼、データ整理やデータ添削に対する謝金として利用する。
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