2021 Fiscal Year Research-status Report
外国語学習者の個人差を統合的に理解する:理論モデルの実証と測定ツールの開発
Project/Area Number |
21K13077
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
安田 利典 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 准教授 (30802087)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外国語学習者の個人差 / 複雑系理論 / 理論モデル / 現象学 / 文章完成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
母語獲得と異なり、外国語習得には学習者の動機づけ、適性、学習環境等の心理・社会的要因が個人差として影響する。これまでは各要因を個別に扱いつつ、学習者集団に共通する特徴を探る研究が盛んであった。一方近年では、複雑系理論の影響から、各要因が多様に絡み合い、時間とともに変化しつつ習得に影響するという見方が興りつつある。しかし後者の場合、その複雑さゆえ、学術的解釈をどのように行うかの問題も生じる。本研究では、この問題を解決しつつ、外国語学習者の個人差に対する統合的理解を促進する。特に、(1)現象学と心理学を基盤とした理論モデルの実証、(2)文章完成法を用いた測定ツールの開発を目指す。 (1)理論モデルの実証:現在までに、理論モデルの基盤となるフレームワークを考案し、それに基づいたデータ収集の準備を完了している。具体的には、先行研究に基づき、理論モデルの内部に含まれると予測される構成要素、及びそれらの有機的な統合としての全体像を1つのフレームワークとして考案し、修正を重ねた。このフレームワークに基づいて実証データを得るべく、半構造化及び非構造化インタビューを計画し、その準備まで完了している。 (2)測定ツールの開発:測定ツールは、心理学で頻用される文章完成法に基づいて開発される。現時点では、予備調査を通して必要な刺激文の選定を終え、オンライン上でデータを収集すべくシステム整備等の準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
報告者は、本研究課題の初年度(2021年度)4月に、現所属研究機関に着任した。これに伴い、当初の予定をはるかに超える本研究以外の業務が生じ、本研究を予定通りに進めることができなかった。また、コロナ禍への対応のため業務量が増大し、本研究の進行に影響を与えた。 2022年度は、上記業務へのエフォートをある程度抑えられる予定であり、本研究課題に十分な時間を割くことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、研究実績の概要で示したとおり、(1)理論モデル実証に向けたインタビュー調査、及び(2)測定ツール開発に向けたデータ収集を行う予定である。両者とも準備は概ね完了しているため、随時調査を開始する。また、(2)については、測定ツールの最終的な無償公開に向け、オンライン上での利用を可能にすべく専門の外部業者と連携を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、当初の計画通りに研究が進まなかった。そのため、当初予定していた参加者への謝礼、データ書き起こし費用、オンラインシステム開発費等を使用せずに繰り越した。2022年度は、もともと2021年度に実施予定だった上記内容を継続する計画であった。よって、前年度の遅延を補填しつつ研究を進め、適宜これらの費用を使用する予定である。
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